【表紙】 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる「よこはま」をみんなでつくろう よこはま笑顔プラン 第4期横浜市地域福祉保健計画 計画期間:2019(平成31)年度-2023(平成35)年度 【目次】 第1章 第4期横浜市地域福祉保健計画の策定に当たって 1ページ 1地域福祉保健計画について 2ページ (1) 地域福祉保健計画の策定・推進の経過 2ページ (2) 地域福祉保健とは  2ページ (3) 地域福祉保健計画の策定の趣旨  3ページ (4) 地域福祉保健計画の推進における「自助」、「共助」、「公助」の連携  3ページ 2 第3期市計画の概要・振り返り 4ページ (1) 第3期市計画のねらい 4ページ (2) 取組の方向性 4ページ (3) 成果 4ページ (4) 第4期計画に引き継がれる課題  4ページ 3 地域福祉保健を取り巻く状況の変化 5ページ (1) 社会状況の変化と「地域共生社会」づくり  5ページ (2) 国における法改正・制度の見直しの状況 5ページ (3) 横浜市の現状と中期的課題 6ページ 4 計画の構成について 8ページ (1) 市計画・区計画・地区別計画の関係 8ページ (2) 圏域の考え方  9ページ 5 第4期市計画について 11ページ (1) 計画の位置付け 11ページ (2) 計画期間 18ページ (3) 基本理念 18ページ (4) 計画の基礎となる共通の考え方 18ページ (5) 第4期計画の5つの特徴 19ページ (6) 市民の皆様と共に取り組んでいくこと 20ページ 第2章 推進のための取組 23ページ 1 第4期計画の方向性 24ページ 2 第2章の見方 26ページ 推進の柱1 地域福祉保健活動推進のための基盤づくり 27ページ 柱1-1 地域力(地域の強みを生かした課題解決力)の向上に向けた支援の充実 28ページ 柱1-2 地域福祉保健活動を推進する関係組織・団体への支援 34ページ 柱1-3 誰もがお互いを受け入れ、共に支え合う意識の啓発と醸成 40ページ 柱1-4 地域福祉保健活動の推進のための人材育成と環境づくり 46ページ 推進の柱2 身近な地域で支援が届く仕組みづくり 55ページ 柱2-1 見守り・早期発見の仕組みづくり 56ページ 柱2-2 連携・協働による地域の生活課題を調整・解決する仕組みの充実 62ページ 柱2-3 身近な地域における権利擁護の推進 70ページ 柱2-4 幅広い住民層が取り組む地域の健康づくり活動の充実 76ページ 柱2-5 支援が届く仕組みをつくり、機能させるための環境づくり 80ページ 推進の柱3 幅広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 83ページ 柱3-1 幅広い市民参加の促進 84ページ 柱3-2 多様な主体の連携・協働による地域づくり 90ページ 柱3-3 幅広い市民参加、多様な主体の連携・協働を促進するための環境づくり 96ページ 第3章   計画の推進に当たって 101ページ 1 計画の推進体制 102ページ (1) 横浜市地域福祉保健計画策定・推進委員会【附属機関】 102ページ (2) 横浜市地域福祉保健計画・横浜市地域福祉活動計画検討会【市社協との連絡調整会議】102ページ (3) 関係局区検討プロジェクト 102ページ (4) 横浜市健康福祉局と横浜市社会福祉協議会の基本的な役割分担 102ページ 2 計画の評価方法 103ページ (1) 各年度の取組の振り返り 103ページ (2) 計画の評価時期 103ページ (3) 評価内容・手順 103ページ (4) 評価と社会状況の変化や他の施策等との関係について 104ページ 資料編  105ページ 1 横浜市の状況(統計データ) 106ページ 2 横浜市地域福祉保健計画の検討経過 131ページ 3 パブリックコメントの実施結果 132ページ 4 「具体的な取組」推進に向けた市及び市社協の主な施策・事業 133ページ 5 関係法令(抄)条文 147ページ 6 用語解説 152ページ 7 横浜市地域福祉保健計画策定・推進委員会委員名簿(平成29・30年度)158ページ 【1ページ】 第1章 第4期横浜市地域福祉保健計画の策定にあたって 【2ページ】 1 地域福祉保健計画について (1) 地域福祉保健計画の策定・推進の経過 平成12年の「社会福祉法」の改正により、新たに第107条に地域福祉の推進に関する事項を定める市町村地域福祉計画を策定する等の規定が定められました。 横浜市では、「社会福祉法」の改正前より取り組んできた住民、事業者、関係機関、団体等との協働によるまちづくりを更に進めるため、平成16年度に第1期横浜市地域福祉計画(計画期間:平成16~20年度)を策定しました。第2期計画(計画期間:平成21~25年度)から名称を地域福祉保健計画とし、福祉と保健の取組を一体的に推進しています。また、第3期計画(計画期間:平成26~30年度)からは、横浜市社会福祉協議会が定めていた「横浜市地域福祉活動計画」と一本化して策定することにより、取組を一体的に推進するとともに、愛称を「よこはま笑顔プラン」としています。 <地域福祉保健計画の推進経過> 平成12年度 社会福祉法改正、市町村地域福祉計画を位置付け 平成16年度~ 第1期横浜市地域福祉計画策定(期間:平成16年度~20年度)社会福祉法改正を踏まえ、市及び全区で地域福祉計画を策定 平成21年度~ 第2期横浜市地域福祉保健計画策定(期間:平成21年度~25年度) 全区で地区別計画を策定 福祉と保健の取組を一体的に推進 「地域福祉保健計画」に名称変更 平成26年度~ 第3期横浜市地域福祉保健計画策定(期間:平成26年度~30年度) 市社会福祉協議会の地域福祉活動計画と一体化、連携して推進 (2) 地域福祉保健とは 「地域福祉保健」とは、地域の住民・住民組織と関係団体、社会福祉協議会(以下、「社協」といいます。)、行政等の関係者が協力して、誰もが安心して自分らしく健やかに暮らすことのできる地域社会を実現していくことです。 具体的には、個人や世帯の抱える困りごと等の生活課題やそれぞれの地域の状況に応じた地域課題を地域住民や関係者で受けとめ、協力して地域で解決していくこと(地域福祉)、また、生活課題や地域課題と健康問題の関連性に着目し、これらを一体的に捉え、予防的な視点をもって心身の健康保持及び増進を推進すること(地域保健)です。 生活課題や地域課題の解決へ向けた取組や心身の健康づくりに向けた活動等が、住民の生活に密着したより小さな地域から区域、市域を含めてより広域的に重層的*に広がっていくこと、また、その中で住民一人ひとりの思いが引き出されるとともに、生きがいをもっていきいきと自分らしく過ごしていけることを目指します。 【3ページ】 (3) 地域福祉保健計画策定の趣旨 地域福祉保健計画の策定の趣旨は、地域住民と関係機関・団体等が協力して取り組む地域づくりを計画として明文化し、合意形成を図りながら推進していくことにあります。 計画の策定を通じて、地域住民と関係機関・団体等が地域ごとの現状と課題を明らかにし、より良いまちづくりに向けた目標を共有することで、同じ方向を見据えて、それぞれの役割に応じた取組を進めていくことができます。 また、これまでの計画推進の中で大切にしてきたことは、「住民主体」と「協働」です。地域の状況に合わせて、より良い地域づくりを進めていくためには、そのまちに住む一人ひとりが「私たちのまち」に関心を持つこと、そして地域住民や自治会町内会をはじめとする住民組織と、地域にある様々な機関や団体、施設等が協力して地域福祉保健の推進に取り組むことが重要です。 (4) 地域福祉保健計画の推進における「自助」、「共助」、「公助」の連携 地域福祉保健においては、個人でできることは自分たちで取り組む「自助」、一人では解決できないことをお互いに助け合う「共助」、行政でなければ解決できない問題に取り組む「公助」が相互に連携して進められることが重要です。 地域福祉保健計画では、生活課題や地域課題の解決に向けて「自助」、「共助」、「公助」を組み合わせ、関連付けながら総合的に取組を進めていきます。 <自助・共助・公助の定義について> 自助 自分や家族でできることを行う。自分の力を発揮できるようにする。 共助 地域や仲間同士でお互いに助けあいながら、できることを行う。 公助 個人や家族・地域等でできない支援を公的機関が行う。 【4ページ】 2 第3期市計画の概要・振り返り (1) 第3期市計画のねらい 住民主体と協働による地域福祉保健の推進のため、関係機関等が協働し、地域を支援する体制づくりや様々な活動に取り組むとともに、障害や病気の有無に関わらず、社会の一員として支え合い、互いに尊重し助け合って生きていく地域社会をつくっていくことを目指しました。また、様々な取組に健康につながる視点や要素を織り交ぜることで、まちづくりを通じて誰もが健康を大切にする社会を目指しました。そのような社会を実現するために、従来の取組では把握することが困難な対象層を、地域で見守り支援につなげる仕組みづくりを提示しました。また、幅広い層に向けた啓発と、様々な主体との連携を強化していくような工夫や、地区別計画だけでは解決できない課題について、市域・区域における取組の工夫をすることを提案しました。 (2) 取組の方向性 第3期市計画では以下の方向性のもとに取組を進めました。 ・地区別計画を基盤として、地域の状況に応じた住民主体の課題解決の取組や地域づくりを更に推進すること ・自助・共助・公助の組み合わせにより、身近な地域において多様な主体による見守りや権利擁護等「支援を必要とする人が的確に支援につながる仕組みづくり」を推進すること ・地域への関心を深め、様々な主体が活動に参加できる場づくりを進めることにより「幅広い市民参加による取組」を進めること (3) 成果 第3期市計画の取組の推進を通じて、以下の成果が得られました。 ・地域支援の体制づくりが進み、地域の状況に応じた住民主体の取組が進められています。 ・住民や事業者による日常的な見守り活動、住民を含む関係者による地域の生活課題の把握や解決に向けた検討、市民後見人の養成や受任者への支援等の権利擁護の取組が進んでいます。 ・新たな拠点やネットワークを活用した取組により、地域でのつながりづくりが進み、多様な主体による地域活動が拡大しています。 (4) 第4期計画に引き継がれる課題 第3期市計画から以下の課題を引き継ぎ、第4期計画で引き続き取組を進めていきます。 ・自治会町内会圏域等、より住民に身近な地域での取組を推進し、地域福祉保健の取組を充実させていくための支援の基盤づくりを更に推進していくことが必要です。 ・支援が必要な人を早期に発見し適切な支援につなげられるよう、生活課題・地域課題の把握・解決の仕組みや体制づくりを一層推進していくことが必要です。 ・幅広い層が社会参加できるよう多様な選択肢の提供や様々な主体の協働による取組が必要です。 【5ページ】 3 地域福祉保健を取り巻く状況の変化 (1) 社会状況の変化と「地域共生社会」づくり 少子高齢化や人口減少の進展、世帯の小規模化、住民同士のつながりの希薄化、非正規雇用の拡大等、私たちを取り巻く社会の状況は大きく変化しています。同時に「社会的孤立」や介護と育児の問題を同時に抱える等の「複合的な課題」、既存の支援制度では対応が難しい「制度の狭間の問題」が増えています。 こうした中で、これまで対象ごとに整備が進められてきた公的支援が、今後、様々な課題に包括的に対応していくことが求められています。また、改めて地域を基盤にした支え合いが注目され、福祉保健分野を問わず、様々な主体が協力して課題を解決する力を高めていくことが必要とされています。 国では、このような状況を踏まえ「地域共生社会*の実現」を目標に掲げ、社会福祉制度の改革へ向けた様々な検討が進められています。この改革は、「我が事」と「丸ごと」の2つのキーワードで説明されます。 ・「我が事」 家庭の機能低下や、日常の様々な場面におけるつながりの弱まりを背景に、社会的孤立や制度の狭間の課題が表面化していることから、地域住民が「他人事」ではなく「我が事」の意識をもって、課題の解決や地域づくりに主体的に取り組み、つながり支え合う地域を育んでいくこと。 ・「丸ごと」 様々な分野の課題が絡み合って複雑化したり、個人や世帯単位で複数分野の課題を抱え、複合的な支援を必要とする状況が見られること等を背景に、課題に包括的に対応したり、地域の実情に応じて高齢・障害といった分野を越えた総合的な支援を提供できるようにすること。 *地域共生社会:制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を越えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し 人と人、人と地域社会にある様々な社会資源が世代や分野を越えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会 (2) 国における法改正・制度の見直しの状況 地域共生社会づくりの考え方や方向性を踏まえ、国では法改正・制度の見直しが行われています。 ア 市町村地域福祉計画 平成29年6月に改正された社会福祉法では、「市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制づくり」や「福祉分野の共通事項を記載した地域福祉計画策定の努力義務化」等が規定されています。 社会福祉法の改正を受け、国から示された市町村地域福祉計画の策定ガイドラインでは、主に市町村地域福祉計画に盛り込むべき事項として、「生活困窮者のような各分野横断的に関係する者に対応できる体制」「就労に困難を抱える者への横断的な支援の在り方」「市民後見人等の育成や活動支援、判断能力に不安がある者への金銭管理、身元保証人等、地域づくりの観点も踏まえた権利擁護の在り 【6ページ】 方」「地域住民等が主体的に地域生活課題を把握し解決に取り組むことができる地域づくりを進めるための圏域と、各福祉分野の圏域や福祉以外の分野の圏域との関係の整理」等が挙げられています。 また、包括的な支援体制の整備に関する事項についても計画に盛り込むものとしており、各市町村にはこれらを踏まえた計画策定が求められています。 イ 社会福祉法人の地域貢献 平成28年3月の社会福祉法の改正により、社会福祉法人においては、社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人として、「地域における公益的な取組」の実施に関する責務が明記されました。これにより、特定の社会福祉事業の領域に留まることなく、様々な地域生活課題や福祉ニーズに対応していくことが期待されています。 ウ 生活困窮者自立支援制度 平成27年4月に生活困窮者自立支援法が施行され、経済的に困窮し、社会保険制度と生活保護制度の間の段階で、これまで支援の狭間にあった方々の早期の自立を支援する第二のセーフティーネットとして制度化されました。 生活困窮の背景にある社会的な孤立に対しては、暮らしの舞台である地域の中で解決を図ることが重要となります。その端緒に気づき、支援につなげる体制、地域の多様な主体の連携による見守りや社会参加の場づくり等に取り組むことが重要とされています。 エ 成年後見制度利用促進基本計画 平成28年5月に成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行され、平成29年3月に国の成年後見制度利用促進基本計画が策定されました。計画の中では、「利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善」、「権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり」、「不正防止の徹底と利用しやすさの調和」に取り組むこととされています。また、市町村は、国の計画を勘案して、市町村計画を策定するよう努めることとなっています。 (3) 横浜市の現状と中期的課題 横浜市では、今後、人口が減少に転じることが予想される一方で、65歳以上の人口は今後10年で急増することが見込まれます。更に、ひきこもりや生活困窮等の支援を要する子どもや若者が増加傾向にあり、生活保護受給者数の増加等の問題も増加しています。 市民意識調査によると地域との関係性について、「困ったら相談したり助け合ったりする」割合は減少傾向にあり、お互いに干渉し合わない関係性が増えています。その一方で、退職後に地域活動やボランティア活動に参加したいと考えている人も一定数存在します。 こうした現状の中で、横浜市における中期的課題には、次のようなものが挙げられます。 【7ページ】 人口減少 横浜市の総人口は2019年の373万人をピークに減少に転じ、いわゆる人口減少社会が到来します。さらに、生産年齢人口はすでに減少が始まっており、将来にわたり減少し続けていくことが予想されています。 少子高齢化 2025年には65歳以上の高齢者人口が97万人に達し、2030年には100万人を突破、2035年には110万人になると予測されています。一方、子どもの数は2025年までに約7万人の減少が見込まれています。高齢者人口の増加に伴い、2015年に比べ、2025年には要介護認定者数が1.5倍、認知症高齢者数が1.4倍に増加することが見込まれており、それ以降も支援を要する高齢者は増加するものと考えられます。横浜市の合計特殊出生率は、ここ数年微増傾向にありますが、全国より低い値であり出生数も減少傾向です。依然として少子化の現状は変わっていません。 社会情勢・世帯構成の変化 支援を要する高齢者の増加や保険制度改革等により、施設入所や入院による対応は、より重度の高齢者のみとなり、支援を要する人の生活は地域へ移行していきます。一方で、それを支えることが期待される地域社会では、人口減少・少子高齢社会の進展に加え、単身世帯の増加、家族形態の変容、価値観の多様化、自治会町内会加入率の減少等により、担い手が不足し、地域で支援を要する人の生活を支えていく力は脆弱になることが見込まれます。 複合的な課題の増加 近隣との関係性の希薄化が課題となっており、社会的孤立や、それを背景とする潜在化・深刻化した問題を抱えた世帯も地域に存在し、今後増えていくことが考えられます。こうした地域にある問題は高齢者に限らず、中高年のひきこもりと高齢の親という8050問題や育児と介護の同時進行を意味するダブルケア、生活困窮、子どもの貧困、いわゆるごみ屋敷の増加など、多世代に渡る複合的な課題が増えてきています。 このような状況を踏まえ、第4期市計画は、分野を横断的につなぐ特徴を捉え、各取組を推進していきます。 加えて、様々な課題をできるだけ地域で受けとめ、解決を図ることができるよう、①より住民の生活に近い地域で活動を高めて基盤を強化すること、②必要な人に支援が届く仕組みづくりを更に広げること、③地域の人々が協働して地域課題の解決を通じた地域づくりを進めていくことを重点として具体的な取組を進めていきます。 【8ページ】 4 計画の構成について (1)市計画・区計画・地区別計画の関係 横浜市の地域福祉保健計画は、市計画、18区の区計画、地区別計画で構成しています。 政令指定都市である横浜市の場合、各種福祉保健サービス提供や区民ニーズと地域特性に基づく取組の中心は区であるため、各区計画を策定し、区の特性に応じた取組を進めています。さらに、地域課題や生活課題にきめ細かく対応するためには、お互いに顔の見える小さな圏域を単位とすることが必要なため、第2期から全区で地区別計画を策定・推進しています。 市 計 画 位置付け 基本理念と市としての方向性を提示し、区計画推進を支援する計画 盛り込む内容 分野別計画を横断的につなぎ、地域福祉保健に関する施策を調整するための連携した取組 区計画を進めるために必要な市や市社協による支援策、区域で解決できない課題に対する市域での取組 市民の活動の基盤整備に関する取組 区計画 区全体計画 位置づけ 区の特性に応じた、区民に身近な中心的計画 盛り込む内容 地域福祉保健に関する区の方針 地区別計画の活動を支える取組 区域全体の福祉保健の共通課題、住民主体の活動では解決できない課題、区域で取り組むべき課題に対する区・区社協・地域ケアプラザの取組 地区別計画 位置づけ  地区の課題に対応するため、地区が主体となり、区・区社協・地域ケアプラザとが協働で策定する計画  盛り込む内容 住民主体の活動により解決を図る課題に対する取組 地域の課題の解決に向けた、地域の人材と資源を生かした身近な支えあいや健康づくりの取組 支援が必要な人の日常生活に連動した支援策・取組 【9ページ】 (2)圏域の考え方 ア 地域福祉保健計画における圏域の考え方 横浜市は人口370万人の大都市であり、市の中でも、地域により生活上の課題等が異なっているため、一律での計画づくりだけでは、課題解決を進める上で十分とはいえない状況にあります。住民が地域生活課題を解決するためには、一定の範囲で地域の特性や状況に応じた検討や取組を行う必要があります。地域福祉保健の圏域を横浜市の現状から考えると、次の6層に分けられます。 <地域福祉保健計画における6層の圏域> 1層 近隣、自治会町内会の班(組)程度 隣近所の付き合いや、地域住民相互の協力により、支援の必要な人を把握し、見守りや日常の生活支援などを行う基礎的な範囲。 2層 自治会町内会、人口平均1,300人程度 地域住民の暮らしの課題を解決していくために日常的な活動を行う範囲。団地やマンションなどもこの範囲。 3層 地区連合町内会、人口平均15,000人程度 253地区 自治会町内会、各団体・組織がまとまり、地区連合町内会や地区社協を組織し、活動を行っている圏域。 4層 日常生活圏域(中学校区程度) 人口平均25,000人程度 地域ケアプラザ(146圏域) 地域ケアプラザ(地域包括支援センター)など身近な地域課題を解決するための福祉保健サービスや公共施設が整備されている圏域。 5層 区域(18区)、人口10~35万人程度 効果的なサービス提供を実現するために区社協をはじめとした様々な公的機関を整備し、区役所を中心に1~4層で把握した各地区に共通する地域課題を共有し、各地域を支援する地域福祉保健施策を進める圏域。 6層 市域、人口370万人 市全域を対象とした、総合的な地域福祉保健の取組を推進する圏域。 【10ページ】 イ 地区別計画における圏域の考え方 地区別計画の圏域については、これまでの各区での計画策定・推進状況を踏まえ、地区連合町内会の圏域を基本とします。また、地区連合町内会に加入しない自治会町内会や、地域ケアプラザが設置されていない地区等もあるため、計画策定・推進の圏域は、集合住宅の団地、マンション管理組合、単位自治会町内会等、地域の状況に応じて住民との話し合いの中で柔軟に設定することも可能です。 <地区連合町内会のエリアを地区別計画の基本の圏域とする理由> その地域を知る人が集まり、話し合い、活動できる範囲として単位自治会町内会が考えられますが、小規模の自治会町内会だけでは解決できない課題も考えられます。 横浜市では、他都市と比較して地区連合町内会が組織的な活動を展開していること、おおむね地区連合町内会の圏域で地区社協が結成されていること、自治会町内会同士が支え合う関係を期待できること等から、地区連合町内会の圏域を基本の圏域としています。 ウ 取組の特性に応じた圏域の考え方 日常生活の支え合いは、範囲が小さいほどお互いの顔や名前もわかりやすく、日常生活の延長上でできることは継続しやすいため、近隣や自治会町内会のエリア程度が望ましい単位と考えられます。子育てサロン、高齢者のサロン、配食サービス等の活動は、自治会町内会等の圏域で活発に行われている場合が多く見られます。 しかし、複雑な課題や近隣等の小さな範囲では解決することが難しい課題もあります。また、近隣には自分のことを知られたくない、個人的な問題には関わってほしくないといった理由から、あえて広域で活動している団体を選ぶ人もいます。更に、交通網の発達やインターネットの普及等で従来の圏域を越えた活動が広がり、同好の仲間がサークルをつくる等、共通のテーマに基づく広域の活動団体(ボランティアグループや当事者活動団体等)も生まれています。 こうした生活の圏域を越えた区域や市域で活動する人、広域の活動団体が多数存在するのも都市部の特徴のひとつであり、取組の特性に応じて広域の活動団体と連携を図ることも有効です。 【11ページ】 5 第4期市計画について (1) 計画の位置付け ア 市の基本構想・中期計画との関係 (ア) 横浜市基本構想(2025年頃を展望した都市の姿)との関係 横浜市では、市民生活を取り巻く環境が大きく変化する中で、市民が希望をもって生活できるよう、今後のおおむね20年を展望した市政の根本となる指針として、平成18年度に「横浜市基本構想」(長期ビジョン)(以下、「基本構想」といいます。)を策定しました。 基本構想では、「これからの20年で横浜が目指す都市の姿=市民力と創造力により新しい『横浜らしさ』を生み出す都市」を都市像として掲げました。地域課題や社会的な課題に対して、市民と行政が協働し、互いの特性を生かした取組を進め、多様なニーズにきめ細かく対応することで、市民生活の質の向上を目指すとしています。 地域福祉保健計画は、基本構想を上位計画とし、基本構想で掲げる都市像を支える5つの柱の一つである「いつまでも安心して暮らせる安全安心都市」を実現するための計画という性質を持ちます。 (イ) 横浜市中期4か年計画との関係 横浜市では、将来に向け横浜を更に飛躍させていくために、2030(平成42)年を展望した中長期的な戦略と、計画期間の4年間で重点的に推進すべき38の政策を取りまとめた「横浜市中期4か年計画(2018~2021)」を平成30年度に策定しています。 その中の政策14「参加と協働による地域福祉保健の推進」及び政策33「参加と協働による地域自治の支援」において、市民主体の地域運営を進めるとともに、地域福祉保健計画を引き続き推進することにより、地域福祉保健活動のための基盤づくりを進めていくことが位置付けられています。 そのため、「横浜市中期4か年計画(2018~2021)」と本計画を相互に連動させながら取組を進めていきます。 【12ページ】 イ 福祉保健の分野別計画、関連する分野 横浜市では、各法を根拠とする福祉保健の分野別計画として、次のようなものを策定しています。 ・よこはま地域包括ケア計画(横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画)(老人福祉法、介護保険法) ・横浜市障害者プラン(障害者基本法、障害者総合支援法、児童福祉法) ・横浜市子ども・子育て支援事業計画(子ども・子育て支援法、次世代育成支援対策推進法) ・健康横浜21(健康増進法) 地域福祉保健計画は、地域の視点から高齢者、障害者、子ども・若者等の対象者や、保健や健康に関する分野別計画に共通する理念、方針及び取組推進の方向性等を明示し、対象者全体の地域生活の充実を図ることを目指しています。また、住民、事業者及び公的機関が協働する基本的な事項を横断的に示すことで、地域における展開を総括する役割を果たします。 分野別計画で示している対象者の地域生活を支えるための事業や支援については、地域福祉保健計画においても住民と協働して取り組んでいきます。分野別計画に掲げた事業や地域活動支援は、地域福祉保健計画と相互に取組を進めることで対象者の地域生活の充実を図っていきます。 このため、地域での生活を支援するためには、人々の暮らしの場である地域において、様々な取組をそれぞれの関係性や相互のつながり、取組全体の方向性、継続性といった視点で捉え、それぞれを関連付けて行うことが必要です。様々な地域生活課題に地域が主体となって取り組んでいけるよう、関連する行政分野との連携を重視し、取組を進めていきます。 なお、権利擁護及び生活困窮に対応する取組が、本計画における早期発見・支える仕組みづくりの取組と重なるため、成年後見制度利用促進基本計画については、本計画の一部として位置付け、一体的に策定し推進します。また、生活困窮者自立支援方策についても、本計画の取組と連携しながら計画的に推進します。 【13ページ】 <他プランとの関係性> 地域福祉保健計画と他分野との関係→分野別の福祉保健行政を横断的に展開する仕組みづくり 【14ページ】 <横浜市地域福祉保健計画と他分野の関係性 イメージ図> 地域でおきる様々な困りごと(地域課題)は、視点によっては都市計画や交通問題等、全ての分野が地域福祉保健(計画)の対象となります。 例えば、ごみの分別ができていないという「環境」の課題が、ルールを守らないというマナー違反によって発生している場合もあれば、認知症等によりルールが認知・実行できない高齢者が多いという場合もあり、これは地域福祉保健の視点で考えていく課題となります。 また、バスが減便され困っているという「交通」の課題も、地域交通のネットワークの視点で考える場合もあれば、それによって移動が困難な方の買い物や通院が困難になるという視点からは、地域福祉保健の課題・取組として考えていく課題となります。 更には、地域の中で多くの空き家が発生し解消されない課題について、これを「防犯・防火」や「都市計画・まちづくり」の課題と考える場合もあれば、空き家を地域福祉保健活動の拠点として再利用するという視点からは地域福祉保健の課題・取組として考えていく課題にもなります。 従来、地域福祉保健が担ってきた住民と協働して課題を解決するという方法を、環境問題や地域のまちづくりでも推進していくために、様々な分野の施策が連携して地域の生活課題を解決する姿勢が大切です。ただし、地域の課題の状況は各区・各地区により異なるため、地域福祉保健計画に取り上げる課題の優先順位や目標は、地域により異なる場合もあることに留意が必要です。  【15ページ】 <福祉保健の分野別計画(抜粋)> よこはま地域包括ケア計画~第7期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画~2018(平成30)年度~2020(平成32)年度 基本目標 ポジティブ・エイジング ~誰もが、いつまでも、どんなときも、自分らしくいられる「横浜型地域包括ケアシステム」を社会全体で紡ぐ~ 基本的な方向 Ⅰ 地域共生社会の実現に向けた地域づくりを目指して 誰もが、いくつになっても、その人に合う役割を持ち、地域の担い手となることができるよう、「介護予防・健康づくり」、「社会参加」、「生活支援」を一体的に推進し、健康寿命の延伸につなげます。 地域共生社会の実現に向け、多様な主体が連携した包括的な支援体制により、活動や支援が充実した地域づくりを進めます。 Ⅱ 地域生活を支えるサービスの充実と連携強化を目指して 医療・介護が必要になっても地域で安心して生活できるよう、在宅生活を支える介護、医療、保健・福祉の充実を図ります。 医療・介護の連携等、多職種連携の強化を進め、利用者の状況に応じた必要なケアを一体的に提供することができる体制を構築します。 Ⅲ 認知症にやさしい地域を目指して 認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた良い環境の中で暮らし続けられる地域づくりを目指します。 認知症の人や家族のニーズを踏まえ、本人の状態に応じて適切な支援が受けられるよう、医療・介護サービスの適切な提供、連携を推進するとともに、地域の見守りやインフォーマルサービス等も含めた切れ目のない支援体制の構築を進めます。 Ⅳ ニーズや状況に応じた施設・住まいを目指して 要介護高齢者、認知症高齢者、一人暮らし高齢者等の大幅な増加が見込まれる中で、多様なニーズに対応し、個々の状況に応じた選択を可能とするため、必要な施設や住まいを整備します。 施設・住まいに関する相談体制の充実を図り、個々の状況に応じたサービスが選択できるよう支援します。 Ⅴ 安心の介護を提供するために 増大する介護ニーズに対応し、質の高いサービスを安定的に提供するため、①新たな介護人材の確保、②介護人材の定着支援、③専門性の向上を3本柱として総合的に取り組みます。 Ⅵ 地域包括ケア実現のために 市民に分かりやすい情報の発信や介護サービスの適正な提供・質の向上等、横浜型地域包括ケアシステムを支える基盤整備を進めます。 保険料の推計 介護サービス量等の見込み・保険料の設定等 【16ページ】 <地域包括ケアシステムと横浜市地域福祉保健計画との関係について> 地域包括ケアシステム構築のため、特に住民主体で行う高齢者を対象とした取組は、地域福祉保健計画に位置付けられた様々な取組と連動させながら、中長期的な視点で進めていきます。 地域包括ケアシステムの介護・医療・介護予防・生活支援・住まいの5分野のうち、特に介護予防・生活支援分野は、地域福祉保健計画の中でも、自治会町内会等住民と協働して取り組んでいるものが多くあります。 一方、介護・医療分野では専門職間の連携や多様な主体によるサービス・支援の提供体制の構築が、施設・住まい分野では、行政や民間事業者、NPO法人等と連携した取組が必要になります。 これまで、地域福祉保健計画の推進により築いてきた、様々な福祉保健活動は横浜の財産です。 こうした礎をもとに、地域包括ケアシステムに向けた取組を進めることで、地域活動が活性化し、双方の充実が図られることを目指します。 横浜市障害者プラン(第3期)2015(平成27)年度~2020(平成32)年度 基本目標 「自己選択・自己決定のもと、住み慣れた地域で、安心して、学び・育ち・暮らしていくことができるまち、ヨコハマを目指す」 テーマ別取組内容 テーマ1 出会う・つながる・助け合う 普及・啓発、相談支援、情報の保障、災害対策 テーマ2 住む、そして暮らす 住まい、暮らし テーマ3 毎日を安心して健やかに過ごす 健康・医療、バリアフリー、権利擁護 テーマ4 いきる力を学び・育む 療育、教育、人材の確保・育成 テーマ5 働く、活動する、余暇を楽しむ 就労、福祉的就労、日中活動、移動支援、文化・スポーツ・レクリエーション 【17ページ】 横浜市子ども・子育て支援事業計画~子ども、みんなが主役!よこはまわくわくプラン~ 2015(平成27)年度~2019(平成31)年度 目指すべき姿 未来を創る子ども・青少年の一人ひとりが、自分の良さや可能性を発揮し、豊かで幸せな生き方を切り拓く力、共に温かい社会をつくり出していく力を育むことができるまち「よこはま」 子ども・青少年への支援:子ども・青少年が様々な力を育み、健やかに育つ環境をつくる ・乳幼児期の保育・教育の充実と学齢期までの切れ目のない支援 ・学齢期から青年期までの子ども・青少年の育成施策の推進 ・障害児への支援 ・若者の自立支援の充実 子育て家庭への支援:出産・子育てがしやすく、子育てが楽しいと思える環境をつくる ・生まれる前から乳幼児期までの一貫した支援の充実 ・地域における子育て支援の充実 ・ひとり親家庭の自立支援/配偶者等からの暴力(DV)への対応と未然防止 社会全体での支援:自助・共助・公助の意識を大切にし、社会全体で子ども・青少年を育てる環境をつくる ・児童虐待防止対策と社会的養護体制の充実 ・ワーク・ライフ・バランスと子どもを大切にするまちづくりの推進 第2期健康横浜21 2013(平成25)年度~2022(平成34)年度 基本理念 すべての市民を対象に、乳幼児期から高齢期まで継続して、生活習慣の改善や、生活習慣病の重症化予防を行うことで、いくつになってもできるだけ自立した生活を送ることのできる市民を増やします。 基本目標 10年間にわたり健康寿命を延ばします。 取組テーマ 1.生活習慣の改善 2.生活習慣病の重症化予防 第2期計画の特色 その1 ライフステージに合わせた取組を行います その2 「きっかけづくり」と「継続支援」を目指した取組を進めます その3 区の特性をふまえ、さまざまな関係機関・団体と連携した取組を進めます 平成29年度の中間評価結果を踏まえ、特に強化していく取組 ・生活習慣病対策の強化 ・生涯を通じて自立した生活を送るための体づくり ・受動喫煙防止対策の強化 ・こころの健康づくりの推進 【18ページ】 (2) 計画期間 2019(平成31)年度から2023(平成35)年度までの5年間とします。 (3) 基本理念 第3期市計画を引き継ぎ、計画推進を通じて目指す目標像を基本理念として、次のように設定します。 誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる「よこはま」をみんなでつくろう (4) 計画の基礎となる共通の考え方 計画の基礎となる共通の考え方を、社会の情勢等を踏まえ大きく3つに整理しました。 ア 誰もがお互いに認め合い、安心して暮らせる社会を目指します。 地域には様々な立場や背景のある人が存在しています。真に支え合える地域を実現するためには、誰もが同じ地域の仲間として受け入れられることが基本です。また、市民一人ひとりが多様性の理解を広げ、立場や背景を越えてつながり、お互いを認め合うことが大切です。 誰もが地域のつながりの中で自分らしくいられる地域社会を目指します。 イ 誰もが地域と関わりながら、お互いに支え合い、健やかに暮らせる社会を目指します。 地域や人とのつながりから広がった住民同士の見守りや支え合いの取組は、身近な生活上の課題に対するいち早い解決に向けた基礎となります。 また、誰もが健やかに暮らせるまちの実現に向けて、一人ひとりが健康に過ごしていくための取組を進めていくことが重要となります。一人ひとりの心身の健康は、自らが健康づくりに取り組むことに加え、社会や人とのつながりを通して自分の居場所や役割を発見することで、生きがいや心の豊かさが醸成されることによってもたらされるものです。 地域住民及び団体が、お互いに支え合い、誰もが健やかに暮らせる社会を目指します。 ウ 地域における様々な主体が連携しながら、市民一人ひとりが自らの力を生かせるような社会を目指します。 困りごと(生活課題)を抱えている人に対して、住民それぞれが他人事ではなく、困ったときはお互いさまの気持ちで、自分にできることを行うことが重要です。 また、地域住民や関係団体だけでなく、施設や企業、商店、NPO法人、学校等が、地域と連携・協働することで、より幅広く課題に対応することができます。生活課題及び地域課題を「我が事」として捉え、様々な主体が連携し、それぞれの力を生かし解決していける社会を目指します。 【19ページ】 (5) 第4期計画の5つの特徴 ア より身近な地域での基盤づくり、体制づくりの推進 区役所・区社協・地域ケアプラザの連携による地域への支援については、地区連合町内会圏域で策定された地区別計画に基づいて行われています。一方で、地区連合町内会の中でも地域状況に差があるため、地域の課題を自治会町内会単位で捉え、住民が取り組む地域の活動も自治会町内会を単位として実施されているものもあります。 既に、区社協や地域ケアプラザによる地域活動の支援も自治会町内会圏域が中心になりつつあることを踏まえ、より住民に身近な地域の活動を支援できるよう必要な取組を進めていきます。 イ 人材の確保・育成 自治会町内会や地域活動における担い手不足については、いずれの地域においても課題となっており、地域で活躍できる担い手の育成について継続して取り組んでいく必要があります。人材育成については、これまでも市計画で取り組んできていますが、第4期市計画では、人材づくりを地域福祉保健の推進における最重要項目の一つとして計画に位置付けます。支援機関の職員や地域活動者・団体だけでなく、より幅広く市民一人ひとりに焦点を当て、地域の人材づくりを進めます。 ウ 包括的な支援体制における早期発見・支える仕組みづくり 日々の生活の中で、家族の助けを借りながら、自立した生活を送る力を高めることが大切です。一方で、社会的に孤立している人や支援を必要としている人にとっては、自立した生活を送ることが難しい場合が多いため、地域の人とお互いに支え合いながら自立を目指すことが重要です。 本計画では、「支え手」と「受け手」が固定されない、全ての人に役割がある場や機会の創出、地域の多様な主体の連携・協働を通じた地域づくりへの主体的な関わりの促進等、地域共生社会の実現に向けた考え方を重点項目の方向性や具体的な取組に反映します。 また、従来の取組では気づくことが困難であった、社会的孤立や生活困窮等を抱え、支援を必要とする人に気づき、支える仕組みを検討します。 【20ページ】 エ 多様な主体の連携・協働による地域づくりの推進 地域福祉保健活動の裾野を広げるため、多様な価値観に合わせた選択肢の提案等を通じて市民をはじめとする多様な主体の幅広い参加を一層促します。複雑・多様化する地域の課題に対応するため、第3期まで推進してきた「幅広い参加」、「関係づくり」を更に進め、地域住民・組織、施設、企業、NPO法人、学校等、地域に関わる多様な主体が連携・協働して必要な活動に取り組めるよう支援します。 また、社会福祉法人については、社会福祉法の改正により今後更に公益的役割を果たすことが期待されています。社会福祉法人が地域貢献を行うために必要な支援についての方向性を示し、具体的取組として盛り込みます。 オ 成年後見制度利用促進基本計画との一体的策定及び生活困窮者自立支援方策の推進 成年後見制度が必要な人や生活困窮者を早期に把握し支援する取組が、本計画における早期発見・支える仕組みづくりの取組と重なるため、成年後見制度利用促進基本計画については、本計画の一部として位置付け、一体的に策定し推進します。また、生活困窮者自立支援方策についても、本計画の取組と連携しながら計画的に推進します。 なお、生活困窮者自立支援方策の方向性(総論)については、平成27年度より開始された生活困窮者自立支援制度の理念の一つである「生活困窮者支援を通じた地域づくり」を本計画の推進の柱や重点項目の中に盛り込み、地域における生活困窮者の早期発見や社会参加の促進を図ります。 (6) 市民の皆様と共に取り組んでいくこと ア 地域福祉保健の推進に市民参加が求められる背景 横浜市には多様な人材と活発な市民の力があります。これまでもこの市民力を生かして、市民と市民が、あるいは市民と行政が協力し地域の課題解決に取り組んできました。今後も市民だけでなく地域の様々な関係機関や担い手が連携し、住民主体の地域運営が行われるよう、協働して取組を進めていきます。 地域の中では、ある場面で支援を受けている人が別の場面では支援を行うというお互いさまの関係づくりが、住民同士の相互理解、信頼感、地域の安心感を高めていきます。それは同時に、それぞれの生きがいや健康維持にもつながっていくものです。 しかしながら、近隣との関係の希薄化が進む中では、支えられる側が支える側になるという双方向の関係性はなかなか深まるものではありません。まずは、自分や自分の家族について関心を向け、問題を解決していくことから始めることが重要となります。そして自分に関心を持つと同時に、近隣の人々や地域についても関心を向け、それぞれができることを生かして役割を分担・連携し、協働していくことによって、地域福祉保健を推進していくことができます。 例えば、人は誰しも自身の問題や課題を家族等と一緒に乗り越えてきた経験があります。その経験をもとに「他の人はどのように乗り越えるか」「この問題だったら他の人にアドバイスができる」といったことから地域を 【21ページ】 考える契機となることがあります。また、家族が少なくなり、自分の家で「地域が交流できるサロンを開いてみたい」といった積極的な考えが生まれることがあります。 そうした考えと地域の課題(地域住民とつながりが薄く、周りと関わりたがらない人が多い等)とが結びつき課題解決につながることが非常に重要なポイントになり、更に、そういった姿を地域で共有することでそれまで関わってこなかった地域住民を巻き込むきっかけにもなります。これらが重なり合うことで、少しずつ、地域のことを「自分ごと」として認識していく意識の醸成につながります。 イ 市民の皆様に伝えたいこと 地域福祉保健を進めていくには、市民一人ひとりが、自助の力を高めていくことが求められます。「自助」とは自分や家族ができることを行い、自分の力を発揮し自己決定することで、必ずしも人の助けを借りずに自立することではありません。日頃から隣近所にあいさつをすることや、困ったときには助けを求められる関係を日頃からつくっておくこと、お互いに支え合いながら生活していくことも自助といえます。また、日常生活を送るうえでは、自分のやりたいことを自分で決定し実行していくことが重要ですが、その前提として、心身ともに良い健康状態を保つことが重要です。 困りごとを抱えている人に早期に気づくためには、その人自身が自ら声をあげ課題解決していくことも重要ですが、中には自ら声をあげることが困難な人もいます。「何か様子がおかしい、気になる」と感じた人から声をかけ話を聞くこと等をきっかけに、深刻化する前の早い段階で課題解決につなげることができます。 地域をより良いものとするため、地域の課題を「自分のこと」として課題の解決に関わるとともに、日常的なつながりの構築のため、地域活動やボランティア活動等に対する理解を深め、地域づくりに参画することが期待されます。また、「自分のこと」として認識した地域の課題に地域住民と一緒に解決に取り組むことで、今まで関心のなかった人が「自分も手伝えることができた」という気持ちに変わり、少しずつ「何かができるかもしれない」という意識に変わっていきます。こうした積み重ねによる気づきと学びが地域社会との関わりの一歩となり、地域づくりにつながっていきます。 一人ひとりが一緒に地域をつくっていくことで、人と人がつながり、お互いに支え合い、安心して自分らしく健やかに暮らせる社会を目指していきましょう。 ウ 行政・社協・地域ケアプラザの役割 地域福祉保健の推進に当たり、行政・社協・地域ケアプラザは、生活課題や地域課題の解決へ向けたコーディネートの中心を担います。地域課題が多様化・複合化する中で、連携による取組がますます重要となってきています。 各組織の内部や職種間、事業担当者間の連携を強化し、分野横断的な体制を整えながら、地域の中で本人に寄り添い解決に導く個別支援と、地域の課題を地域住民等と共有し解決に向けて取り組む地域支援を連動させ、課題解決へ向けたネットワークづくり、仕組みづくり、人材育成等に取り組みます。 各区、各地区で地域福祉保健計画を推進していく際も、区役所・区社協・地域ケアプラザの三者が連携しながら、それぞれの役割を果たしています。 【22ページ】 (ア) 区役所 各区の地区連合町内会単位で配置する地区別支援チームや地区担当制等、部や課の垣根を越えて職員が連携できるよう横断的な「地域と向き合う体制」を整備し、各地区別計画の策定・推進等、地域支援に取り組んでいます。また、福祉保健センターは、福祉と保健の統合のメリットを生かし、区域の福祉保健全体を俯瞰しつつ下支えていく役割をもつ、地域福祉保健の総合的な第一線機関です。福祉保健センターは総務部及び土木事務所と連携を図りながら、総合的に地域福祉保健計画を進めるうえで中心的な役割を担います。区役所は、地域とともに取組を進めてきた実績と地域福祉保健計画策定・推進のための組織・体制等を基盤に、個別支援を通して把握した地域課題や潜在的な課題も認識しながら取り組みます。 (イ) 区社協 地域住民や様々な団体・施設・関係機関等の参画を得て、地域の生活課題の把握とその解決の仕組みづくりを進めていく地域福祉の推進役として法的にも位置付けられた組織であり、その事務局を担う職員は地域支援の専門性を有しています。高い公共性を持ちつつも民間組織であることを生かし、開拓性・即応性・柔軟性をもって地域支援に取り組みます。 (ウ) 地域ケアプラザ 横浜市では地域ケアプラザを地域に身近な福祉保健活動の拠点として位置付けているため、区計画及び地区別計画の策定・推進について区役所・区社協とともに取り組んでいます。地域ケアプラザは、寄せられたあらゆる層の人の相談を受け止めており、これらの相談を通して様々な個別課題を把握するとともに、日常業務や地域住民とのつながりを通して豊富な地域情報を把握しています。個別課題にとどまらず地域の課題を把握し、課題解決に向けた活動を行うとともに、それらの活動をつないで、地域の中で見守り、支え合う仕組みづくりを行う等、地域支援の中核的な役割を担います。 エ 行政・社協・地域ケアプラザと市民との関係 市民と支援機関である行政・社協・地域ケアプラザは、協働する中でお互いに刺激を受けて更に良い成果を生み出していくことが可能となります。地域づくりは支援機関だけで行うことは難しく、また、公的なサービスでは解決が難しい課題にあっては、市民に協力を求めることもあります。 支援機関は地域課題解決のため、地区連合町内会及び地区社協等との協働により、地域住民による主体的な課題解決の取組が進むよう、連携して支援する体制づくりを進めます。 更に、支援機関には、支援を必要としている人への支援だけでなく、地域で起きる様々な課題を「自分のこと」として受け止めていく地域住民の意識の醸成や、市民の願いや思いから地域課題に気づき、解決につながるような支援も求められています。 【23ページ】 第2章 推進のための取組 【24ページ】 第4期横浜市地域福祉保健計画の方向性(期間:平成31年度~35年度) <基 本 理 念>誰もが安心して自分らしく健やかに暮らせる「よこはま」をみんなでつくろう 推進の柱 1 地域福祉保健活動推進のための基盤づくり ・住民のニーズや生活により身近な自治会町内会圏域の活動の拡充を支援する取組を推進します。 ・地区連合町内会及び地区社協を支援し、課題に応じた総合的かつ重層的なネットワークの構築を進めます。 ・住民が信頼でつながることができるよう福祉意識の醸成に取り組みます。 ・区役所・区社協・地域ケアプラザの組織内及び相互連携を一層強化します。 推進の柱 2 身近な地域で支援が届く仕組みづくり 身近な地域での多様な主体と関係機関との連携・協働により、課題の把握から解決までの取組が一体的かつ重層的に機能する仕組みづくりを進めます。 ・本計画と一体的に推進する成年後見制度利用促進基本計画の権利擁護が必要な人を支援する取組を推進します。 ・健康づくりをきっかけとした地域づくりを進めます。 推進の柱 3 広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 地域でつながる機会の拡大や多様な選択肢の提案等を通じて、幅広い市民の参加を一層進めます。 ・社会福祉法人をはじめ、施設、企業、NPO法人、学校等、多様な主体の連携・協働による地域づくりを進めます。 計画の基礎となる共通の考え方 ①誰もがお互いに認めあい、安心して暮らせる社会を目指します。 ②誰もが地域と関わりながら、お互いに支えあい、健やかに暮らせる社会を目指します。 ③地域における様々な主体が連携しながら、市民一人ひとりが自らの力を生かせるような社会を目指します。 【25ページ】 推進の柱1 地域福祉保健活動推進のための基盤づくり 柱1-1 地域力(地域の強みを生かした課題解決力)の向上に向けた支援の充実 1-1-1 区役所・区社協・地域ケアプラザによる地域支援の体制づくり 1-1-2 地域の特性を踏まえた地域支援の促進 柱1-2 地域福祉保健活動を推進する関係組織・団体への支援 1-2-1 地区連合町内会、地区社協等のネットワーク・調整機能の拡充 1-2-2 活動団体のネットワークづくりによる地域活動の充実 柱1-3 誰もがお互いを受け入れ、共に支え合う意識の啓発と醸成 1-3-1 多様性を理解し、同じ地域の住民として受け止められる風土づくり 1-3-2 住民相互が理解・協力し合う気持ちを育てるためのつながりづくり 柱1-4 地域福祉保健活動の推進のための人材育成と環境づくり 1-4-1 地域福祉保健活動を推進するための地域の人材づくり 1-4-2 地域福祉保健活動に求められるコーディネート機能の向上 1-4-3 活動資源を確保するための支援 推進の柱2 身近な地域で支援が届く仕組みづくり 柱2-1 見守り・早期発見の仕組みづくり 2-1-1 見守りの輪の拡大 2-1-2 気づきをつなぐ、情報共有の仕組みづくり 柱2-2 連携・協働による地域の生活課題を調整・解決する仕組みの充実 2-2-1 地域の中で地域住民と関係機関が連携し、支え合う仕組みづくり 2-2-2 地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり 柱2-3 身近な地域における権利擁護の推進 2-3-1 関係機関等と連携した権利擁護の推進 2-3-2 成年後見人等への支援の促進 柱2-4 幅広い住民層が取り組む地域の健康づくり活動の充実 2-4-1 地域とのつながりづくりや連携を通した健康づくりの推進 柱2-5 支援が届く仕組みをつくり、機能させるための環境づくり 2-5-1 必要な支援が届く仕組みづくりに活用できる施策の推進 推進の柱3 幅広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 柱3-1 幅広い市民参加の促進 3-1-1 地域でつながる機会の拡大 3-1-2 社会参加等につながる多様な選択肢の検討・実施 柱3-2 多様な主体の連携・協働による地域づくり 3-2-1 社会福祉法人の地域貢献の推進 3-2-2 企業、NPO法人、学校等との連携強化 柱3-3 幅広い市民参加、多様な主体の連携・協働を促進するための環境づくり 3-3-1 新たな活動の立ち上げや継続するための支援策の提供 【26ページ】 2 第2章の見方 「重点項目」とは 各柱で重点的かつ集中的に進める事項 現状と課題とは 「重点項目」に関する「現状と課題」を整理 目指す姿とは 現状、課題を踏まえ、計画年度内の地域のあるべき姿 重点項目の活動指標とは 重点項目」の「目指す姿」に対応する取組で、数値で表せるものを「活動指標」として各重点項目に1~2つ設定し、現状値(平成29年度末)と5年間で目指す方向性(増加↗、維持→)を示しています。活動指標の動向は計画の評価の一つとして生かします。 主な取組とは 区域の取組を推進、支援、補完するような、市、市社協がそれぞれ進める取組内容を記載 【27ページ】 第2章 推進の柱1  地域福祉保健活動推進のための基盤づくり 推進の柱1 地域福祉保健活動推進のための基盤づくり 柱1-1 地域力(地域の強みを生かした課題解決力)の向上に向けた支援の充実 1-1-1 区役所・区社協・地域ケアプラザによる地域支援の体制づくり 1-1-2 地域の特性を踏まえた地域支援の促進 柱1-2 地域福祉保健活動を推進する関係組織・団体への支援 1-2-1 地区連合町内会、地区社協等のネットワーク・調整機能の拡充 1-2-2 活動団体のネットワークづくりによる地域活動の充実 柱1-3 誰もがお互いを受け入れ、共に支え合う意識の啓発と醸成 1-3-1 多様性を理解し、同じ地域の住民として受け止められる風土づくり 1-3-2 住民相互が理解・協力し合う気持ちを育てるためのつながりづくり 柱1-4 地域福祉保健活動の推進のための人材育成と環境づくり 1-4-1 地域福祉保健活動を推進するための地域の人材づくり 1-4-2 地域福祉保健活動に求められるコーディネート機能の向上 1-4-3 活動資源を確保するための支援 【28ページ】 推進の柱1 地域福祉保健活動推進のための基盤づくり 重点項目<柱1-1> 地域力(地域の強みを生かした課題解決力)の向上に向けた支援の充実 地域支援の体制づくり 第2期市計画以降、地区別計画が全地区で策定されています。区役所・区社協・地域ケアプラザ等の支援機関が、地区別計画の推進を通じて、地域を支援するとともに、住民との協働による課題把握・解決への取組を進めています。 地域における課題は多岐にわたるため、区役所・区社協・地域ケアプラザの組織間だけでなく、組織内の部署間・職種間でも一層連携し、総合的かつ継続的に地域に関わることが重要です。 地域の特性に合わせた支援 地区別計画を通じて、地区連合町内会や自治会町内会等、それぞれの圏域に合わせた活動が行われています。その中で、自治会町内会等の住民の生活により身近な地域の状況に合わせた取組が有効であることが分かってきています。 地域における取組を実行性の高い効果的なものとするため、支援機関が住民の生活により近い地域で、地域の特性やニーズに合わせて住民の活動が充実するよう支援し、課題解決に向けて地域住民や関係機関等と協働していくことが重要となります。 柱1-1-1 区役所・区社協・地域ケアプラザによる地域支援の体制づくり 柱1-1-2 地域の特性を踏まえた地域支援の促進 目指す姿 支援機関が、自治会町内会等の住民の生活により身近な地域の状況に合わせて活動を支援し、地域住民と関係機関等との協働による課題の把握・解決の取組が広がっています。 地域の状況や地区別計画の取組の方向性に合わせて、地区連合町内会圏域より住民の生活に身近な地域の活動が拡大・活発化しています。 重点項目1-1活動指標 災害時要援護者支援の取組を実施している自治会町内会の割合 現状値(平成29年度末) 85.1% 目指す方向性 ↗ 参考:中期4か年計画の目標値(2021年度(平成33年度末))95% 【29ページ】 コラム 地域ケアプラザ~地域の身近な福祉・保健の拠点~ 地域ケアプラザは、高齢者、子ども、障害のある人など、誰もが地域において健康で安心して暮らせるよう、地域の皆様と一緒に、様々な取組を行っている横浜市独自の施設です。概ね中学校区圏域程度に1館設置されています。 地域の皆様の福祉・保健活動やネットワークづくりを支援するとともに、住民主体による支えあいのある地域づくりを支援しています。また、地域の中での孤立を防ぎ、支援が必要な人を把握して支援していくとともに、地域の課題を明らかにして地域住民と一緒に解決に取り組んでいます。 地域ケアプラザ 福祉・保健に関する相談・助言 地域の福祉・保健活動やネットワークづくりの支援 地域の福祉・保健活動の拠点として活動の場の提供 ボランティア活動の担い手の育成・支援 地域包括支援センター 高齢者に関する相談・支援 介護予防・認知症予防教室の開催など 介護予防の取組 成年後見制度の活用や高齢者虐待防止などの権利擁護 地域のケアマネジャー支援や事業者や地域の関係者などとの支援のネットワークづくり 介護予防ケアマネジメントの作成 地域ケアプラザの主な職種 所長 生活支援コーディネーター 地域活動交流コーディネーター 保健師等 社会福祉士 主任ケアマネジャー など 【30ページ】 柱1-1-1 区役所・区社協・地域ケアプラザによる地域支援の体制づくり 区役所・区社協・地域ケアプラザが、地区別支援チームとしての地域に対する役割を一層発揮できるよう支援します。 部署間、職種間、事業担当者間の連携を強化するとともに、地区別支援チームとして支援目標を明確にして、地域支援に当たることができる体制づくりを更に進めます。 支援体制の充実 区役所・区社協・地域ケアプラザが、地区別支援チームとして地域の課題を住民目線で捉え、支援者として関わるスキルを身につけるための研修の検討と実施<市> 局、部、課の垣根を越えた、関係局における日頃からの情報共有による地域支援の推進<市> 関係機関の連携強化 地域共生社会の実現に向けた、地域を「丸ごと」*支える包括的な相談・支援の推進<市> 生活困窮者自立支援法に基づく各種事業の実施における、区社協・地域ケアプラザをはじめとする関係機関との連携強化<市> 区社協・地域ケアプラザの各事業担当者会議や職員研修の実施による組織間・職種間の連携促進<市・市社協> * 「丸ごと」については第1章5頁参照 取組の見える化 「地域ケアプラザ業務連携指針」に基づく地域ケアプラザの職種間連携事例の集約と情報発信<市社協> 区社協と地域ケアプラザの連携による地域支援実践事例の集約と情報発信<市社協> 区社協の事業担当者間の連携促進のための連携事例の集約と共有<市社協> 【31ページ】 コラム 生活支援体制整備事業による連携体制の構築 これまでの地域ケアプラザ等を通じた地域支援の取組を生かすとともに、地域福祉の推進役である社協と連携して事業を進めていくために、平成28年度から、第1層生活支援コーディネーターを18区の社会福祉協議会に、第2層生活支援コーディネーターを地域ケアプラザ等に配置し、生活支援体制整備事業を開始しました。 「高齢者一人ひとりができることを大切にしながら暮らし続けるために、多様な主体が連携・協力する地域づくり」を進めていくことを目的に、地域と共に目指すべき姿を描き、地域福祉保健計画等 と連動して実施できるよう、チームアプローチを意識して進めています。区役所、区社協、地域ケアプラザ等の関係者が集まって、地域の情報を共有したり、地域の課題や目標を共有して、一人ひとりに対する支援と、一人ひとりを支える地域に対する支援を一体的に展開できるよう取り組んでいます。 コラム 支援機関の役割・地域福祉保健での連携について 地区別計画における地域の取組を住民が主体となって推進していけるように、区、区社協、地域ケアプラザにより構成する地区別支援チームを設置し、支援を行っています。 地区別支援チームは、地区別計画策定・推進組織の会議等に参加し、住民とともに協働で計画の策定・推進を進めることが主な役割です。 ①地区別計画策定・推進組織の支援②地区の状況・課題の整理及び住民への情報提供、課題や取組の提案③地区では解決できない課題を区計画につなぐ 等そのために、チームメンバーで、地区の情報を共有したり、地区の課題や地区への支援目標の検討を行っています。それぞれの日常業務の中で把握した地域の情報、地域課題を共有し、優先的に取り組む課題をチーム内で検討し、必要な取組を地域の状況に合わせて地区別計画策定・推進組織に提案し、活動を支援しています。 【32ページ】 <柱1-1-2> 地域の特性を踏まえた地域支援の促進 区役所・区社協・地域ケアプラザが、住民の生活により身近な地域の特性を把握するとともに、地域住民の活動に寄り添いながら支援し、課題解決に向けて協働できるよう取組を進めます。 オープンデータの利活用の推進 市民や民間団体、地区連合町内会等が、区域や地域の課題について多角的に検討できるよう、行政が提供するオープンデータ*の利活用を推進し、地域課題の共通認識を図り、協働により解決するための基盤を構築<市> * オープンデータ:行政が保有する公的データを、市民や企業、NPO法人、大学等が活用できるよう機械判読可能な形で公開していく取組です。国では平成28年12月に「官民データ活用推進基本法」が制定され、これに呼応する形で横浜市でも平成29年3月に「横浜市官民データ活用推進基本条例」を制定する等、全国に先駆けてオープンデータの取組を進めています。 協働による取組の見える化 地域特性に合わせた取組の先行事例の集約と、会議等での支援機関に向けた発信<市> 共通課題の提示 社会的孤立や生活困窮等、どの地域でも共通に考える必要のある課題やその解決事例・対応事例の提示<市社協> 事業を活用した実践の支援 要援護者マップの作成等、身近な地域での実践に生かせる手法の運用支援<市社協> 災害時要援護者支援、既存の見守り事業を活用した地域における取組の支援<市社協> 地域の状況に応じた協働による課題解決 地区別支援チームと地域住民が、地域のアセスメントを踏まえ、多様化する地域課題に対し共に検討する場の充実<市> 社会的孤立や生活困窮等、どの地域でも共通に考える必要のある課題に対する支援機関としての解決策の検討と、施策化を通じた解決策の実行<市・市社協> 【33ページ】 コラム 住民支え合いマップ(神奈川区三ツ沢地区) 「住民支え合いマップ(以下、「マップ」といいます。)」は、50世帯を目安に、その地域に住む人たち数名で住宅地図上に住民の交流状況などを書き込んでいき、そこから見えてくる地域の課題や実態を把握する手法です。50世帯という小さな範囲で丁寧に見ていくこと、「世話焼きさん」と呼ばれる「町内会等の役員ではないけれど地域や住民の様子をよく知っている人」がマップづくりに参加することが特徴です。住民流福祉総合研究所所長、木原孝久さんが発案したこの手法にならい、神奈川区社協では、継続的に地域向けの研修や実践に取り組んできました。 三ツ沢地区では平成25~26年度にかけて自治会役員、民生委員などを中心に研修を受講。これをきっかけに地区全体で取組は広がり、「これまでご近所同士で井戸端会議をしていた方たちの顔が見えなくなった。外に出る機会が減っているのでは」「庭の手入れもままならない一人暮らしの方がいる」など、マップを通して見えてきた実態から、身近な地域で集える「サロン」や住民同士がちょっとした困りごとを助け合う「お助け隊」など、さまざまな活動が立ち上がっています。 市社協ではこの手法を18区全体に広げるための支援を進め、他区においてもさまざまに広がりをみせています。 コラム 官民によるオープンデータ活用の推進 ICTの進展により、福祉・医療、防災・減災など様々な分野で、ビッグデータ*解析などのデータ活用による社会課題の解決への期待が高まる中、平成28年12月に、データが人を豊かにする社会の実現を目指す「官民データ活用推進基本法」が成立しました。 横浜市においても、平成29年3月に全国の市町村で初めて「官民データ活用推進基本条例」を制定、平成30年度にはこの条例に基づく官民データ活用推進計画を策定し、データを重視した政策立案や、データ活用に関連した取組の協働・共創による推進などを進めています。 協働による地域支援の推進のためには、データを活用して地域特性を分析したり、高齢化や人口減少など地域の状況を分かりやすく可視化しながら課題を共有することで、地域住民と区役所・区社協・地域ケアプラザとの対話を深めていくことが大切です。そのため、市や区が保有する統計情報等のオープンデータ化などを進め、課題解決に向けた協働の取組に役立てていきます。 データ活用の推進の取組 ・日常生活圏域単位での介護データの分析・活用 ・介護ロボットの導入支援 ・総合的ながん対策への医療ビッグデータの活用  など * ビッグデータ:デジタル化の更なる進展やネットワークの高度化、またスマートフォンやセンサー等機器の小型化・低コスト化の進展により、スマートフォン等を通じた位置情報や行動履歴、インターネットやテレビでの視聴・消費行動等に関する情報、また小型化したセンサー等から得られる多種多様な膨大なデータのこと。 このビッグデータを活用することによる異変の察知や近未来の予測等を通じて、個々のニーズに即したサービスの提供、業務運営の効率化や新産業の創出等が期待されています。 【34ページ】 重点項目<柱1-2> 地域福祉保健活動を推進する関係組織・団体への支援 地区連合町内会・地区社協の調整・支援機能の拡充 市内には、253の地区連合町内会や256の地区社協(共に平成30年4月1日現在)が組織され、圏域内の情報共有や自治会町内会活動、福祉保健活動等を支援しており、住民の生活により身近な地域における防犯、防災、親睦、環境、健康づくり、助け合いの活動等、住民主体の活動の重要な基盤となっています。 身近な地域の支え合い活動が一層充実するためには、地区連合町内会や地区社協が組織力やネットワークを生かして地域の活動を支援し、その状況を共有することで、地域の活動の発展・継続等、次の展開につなげていくための調整・支援機能をこれまで以上に高めていく必要があります。 活動団体の充実とネットワークづくり 地域では、地区連合町内会や地区社協のほかにも、特定のテーマや課題に焦点を当てて、その解決に取り組むボランティアグループや当事者組織等も活動しています。こうした団体の活動圏域は多様で、地区連合町内会圏域にとどまらず、区域、市域にわたることもあります。 地域福祉保健活動の基盤づくりに向けて、団体がその特徴を生かし、既存の団体活動の継続や発展に取り組むとともに、地域のニーズや課題に応じた新たな活動を立ち上げることが重要です。 活動を充実させるためには、既存の活動、新規の活動を問わず、「地域課題・生活課題に向き合う」、「困りごとを抱えている人を支える」、「支える側・支えられる側の区別なく互いに支え合う」という取組をより進めていくことが求められます。 地域福祉保健活動の基盤を更に強くしていくためには、地区連合町内会、地区社協をはじめ、地域にある活動団体が対応すべき課題に合わせて柔軟に連携し、解決に向けた取組を進めていくこと、更にはその実践経験を蓄積していくことが必要です。 柱1-2-1 地区連合町内会、地区社協等のネットワーク・調整機能の拡充 柱1-2-2 活動団体のネットワークづくりによる地域活動の充実 目指す姿 地区連合町内会及び地区社協が、それぞれのネットワークや調整機能を生かして、自治会町内会等の地域福祉保健活動の充実に向けた支援機能を高めていく役割を果たしています。 地区連合町内会及び地区社協のほか、地域にある活動団体が、課題ごとに分野の枠を越えて横断的につながり、必要な取組を進めています。 地域における既存の活動(自治会町内会活動及びボランティア活動等)を含め、「困りごとを抱えている人を支える」、「全ての人に役割があり、支える側・支えられる側の区別なく互いに支え合う」という地域福祉保健の取組が広がっています。 【35ページ】 重点項目1-2活動指標 地域ケアプラザ(特養包括*含む)が事務局機能を果たしている地域福祉団体・機関とのネットワーク数 現状値(平成29年度末) 682件 目指す方向性↗ * 特養包括:地域包括支援センターを運営している特別養護老人ホームのこと コラム 自治会町内会の取組 地区連合町内会や地区社協のほか、地域にある活動団体が相互に協力・連携することにより、活動の幅を広げ、より活発な地域活動につなげることが期待できます。平成28年度に実施した「自治会町内会・地区連合町内会アンケート」によると、実際に他の団体と協力して活動を行った地区連合町内会の約7割が、『参加者が増えるなど活動が活発になった』、『新たな活動を始めるなど活動の幅が広がった』と回答しています。 事例紹介:地域の0歳から100歳までの方が集える「ひがほん 郷(ふるさと)まつり」(緑区) 「ひがほん 郷まつり」は、東本郷地区連合自治会、東本郷小学校、同校PTA、地区社協、各種委嘱委員など、地域で活動する様々な団体・人々が連携して開催する、地区の一大行事です。「0歳から100歳までの人が集えるまつり」をテーマに、平成23年度から毎年開催されています。 きっかけは、地域福祉保健計画の東本郷地区別計画の目標の一つとして掲げた「地域の人達がつながり、支え合い、一緒に集い楽しみを共有できるまち」の実現に向けての検討でした。地域のつながりづくりを進めるため、イベントを開催しようと、地区連合自治会や地区社協等が中心となり、23年度から「郷まつり」として始まりました。 翌年の24年度には、東本郷小学校・同校PTA事業の「ヒガホンまつり」と合体し、「ひがほん 郷まつり」が誕生しました。これにより、学校・PTAと地域の連携が進み、PTAが参加することで、若い世代へのイベント広報も充実しました。当初、約1,500名であった参加人数も、平成29年度(第7回)には約4,000名となり、回を重ねるごとに参加者、協力者も増え、地域の一大イベントとして定着するとともに、地域のつながりと世代間交流の「核」ともいえる取組になっています。「ひがほん 郷まつり」をきっかけに、地域の各種団体の互いの活動の理解が深まり、地域の中で新しい取組につながる雰囲気が醸成されました。 【36ページ】 柱1-2-1 地区連合町内会、地区社協等のネットワーク・調整機能の拡充 区役所・区社協・地域ケアプラザが地区別計画の推進等を通じた地域への関わりを一歩進め、地区連合町内会や地区社協のネットワークや調整機能の拡充を支援し、住民の生活により身近な地域における地域福祉保健活動が一層充実するよう、必要な取組を実施します。 広報・啓発 地区連合町内会や地区社協等が、それぞれの持つ既存のネットワークや調整機能を生かし、住民の生活により身近な地域の活動を充実させることの重要性やメリットの周知<市> 方針の検討・策定 ネットワークを生かして、地区活動を拡充していく機能の発揮や、「地域課題に向き合う」、「困りごとを抱えている人を支える」、「全ての人に役割があり、支える側支えられる側の区別なく互いに支え合う」という活動の方向性等、地区社協活動の充実・強化に向けた検討会の実施<市社協> 検討会等で整理された地区社協活動の充実・強化に向けた方向性の「地区社協のてびき」等への反映、方針の策定<市社協> 取組の見える化 区役所・区社協・地域ケアプラザが、地区連合町内会、地区社協等の持つネットワークや特性を把握し、地域活動の更なる促進に必要な支援を検討するための情報の収集、会議等での発信<市> 地区社協活動の充実・強化に関する事例の集約と発信<市社協> ネットワークを活用するための場づくり 地区連合町内会、地区社協等、身近な地域の活動団体と行政や関係機関が、お互いの強みを生かし協働するための場づくり、又は既存の場の活用<市> 研修の実施 地区社協活動の充実・強化の方針に関する区社協及び地区社協向けの研修を通じた理解の促進<市社協> 【37ページ】 コラム 地区社協の目指すかたち 平成29年度に「地区社協のてびき」を改訂しました。地区社協は60年以上も前から、地域福祉活動の基盤として、多様な団体とのネットワークをつくり、多くの活動を行ってきました。そして、地区社協の組織は、各福祉関係団体が集まり話し合うネットワークそのものでもあります。 地区社協活動は社会や地域の状況に合わせて変化してきましたが、「誰もが安心して自分らしく暮らせる地域をみんなでつくりだす」ことを基本とし、ネットワーク組織として「一人ひとりの困りごとをみんなで受け止め解決できる地域づくり」を行うことを目指しています。 地区社協は「自分の地域は自分たちで良くしていこう」という気持ちで地域の方々が作った任意の団体です。自ら発見した困りごとの解決に向けて取り組める「自主性」と、行政や専門職と対等な立場で発言できる「公共性」という大きな特徴を持っています。 その組織と特徴を生かして「一人ひとりの困りごとを解決できる地域づくり」を進めるために、住民同士で困りごとを「発見」し、更に多くの人との話し合いの場を通じて「共有・検討」を行い「解決」する活動につなげていきます。 「地区社協のてびき」は横浜市社協ホームページからダウンロード可能 http://www.yokohamashakyo.jp/chiiki-dukuri.html コラム 地域でのちょっとした困りごとを解決(泉区富士見が丘) 泉区富士見が丘地区の民生委員児童委員協議会から「病院や買い物の行き帰りで困っている高齢者が多くいる」との声がありました。そこで地区社協は「高齢の方が抱えている生活課題が他にもあるのではないか」と考え、地区の60歳以上の高齢者にアンケートを取ったところ、他にもちょっとした修繕や庭の手入れ等の困りごとがあることが分かりました。 地区として何ができるか検討を重ね、様々な困りごとをお手伝いする「富士見が丘福祉の会」を地区社協から独立した団体として立ち上げました。対象者を高齢者だけではなく子育て中の家庭や障害のある方にも設定し、庭の手入れ、家の小修理、買い物の手伝いなど依頼に応じています。 依頼は年間300件を越え、地域では日常的な生活支援の必要性を感じています。また、活動の中で、草が伸び周囲が見えにくくなった家などが気になるようになり、また日々の依頼が高齢者の方から多く入ることで地域の高齢化が進んでいることを実感し、地域の中での助け合いの大切さを改めて感じています。 活動を始めたことで活動者同士はもちろん、利用者や自治会の役員など顔見知りの関係が広がり、住民同士の関係づくりにもなっています。また、その個別の生活課題を民生委員だけでなく活動者や自治会が知る機会にもなり、地域全体で一体的に支え合う地域づくりにもつながっています。 【38ページ】 柱1-2-2 活動団体のネットワークづくりによる地域活動の充実 地域活動を充実させるため、地区連合町内会や地区社協と、地域又は市域で活動している高齢者、障害者、子ども・若者等の分野別・テーマ別の活動団体等との連携を進めます。 また、区役所・区社協・地域ケアプラザが活動団体のネットワーク構築を進め、ネットワークの活用により、社会的孤立や生活困窮、移動や買い物の不便さ等の課題が効果的に解決できるようにしていきます。そのために、必要な支援に取り組みます。 広報・啓発 活動エリアや規模、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野を問わず、様々な団体と地区連合町内会、地区社協等が互いにつながり協働することの重要性やメリットの周知<市> 活動団体のネットワークづくり 地区連合町内会、地区社協等が、高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野別で活動している団体とネットワークを構築するための調整<市> 高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野別に活動している地域の活動団体が、分野を越えて連携できるためのネットワークの構築、活用促進<市> 解決すべき課題の整理と必要性に応じた市域ネットワークの構築<市社協> 取組の見える化、共通課題の提示 ネットワークを生かした課題解決事例の集約と発信<市社協> ネットワーク構築による解決への取組につなげるための、移動支援、買い物支援等、共通課題の提示<市社協> 地区連合町内会、地区社協等による、地域の主体的な取組の立ち上げや継続・発展を更に支援できるよう、様々な連携事例・ノウハウの集約と発信<市・市社協> 【39ページ】 コラム 子ども分野のネットワーク(栄区桂台保育園) 子どもたちと、地域の高齢者の方や障害者の方とが関わる取組が充実することは、誰もが安心して暮らせるまちをつくることにつながります。 栄区の桂台保育園では、「ノーマライゼーションの理念を幼児期に培うこと」を目的とした様々な取組を行っています。園の隣には地域ケアプラザと障害者通所施設「朋」があり、年長児クラスの子どもたちは、その両方の施設を利用する方々と毎月交流しています。高齢者の方や重症心身障害児者である利用者の方との交流は、初めから全てが順調に進む訳ではありません。中には、硬い表情の子どもや、距離を置いて見ている子どももいます。しかし、回を重ねるうちに相手の方との距離が縮まっていきます。 交流が進み、子ども自らが交流の内容を考えるようになると、自分たちが楽しんでいる合奏や踊りを見て喜んでいただこうと、熱心に練習に取り組むようになりました。見てく ださった方の反応や言葉から自信と達成感を得た子どもたちは、更に、「見てもらう」ことから「一緒に何かをする」ことへと、相手との関わりがより豊かになる方向へ気持ちが向くようになり、心と心が通い合う交流になっていきました。 誰もが当たり前に一緒にいる地域づくりを目指して、桂台保育園の交流は、これからも続いていきます。 コラム 活動団体のネットワークづくりによる地域活動の充実(神奈川区羽沢地区) 神奈川区羽沢地区では、地域とのつながりが希薄で、生活上の課題を複数抱えながら暮らしている方が多く、その中には困りごとの発見が遅れ、重度化しているケースがあることが地域包括支援センターの打ち合わせで分かりました。 一方で、羽沢地区は地域の活動が活発であったことから、こうした活動と困りごとを抱えた方をつなぐことができないかと考えました。そこで、同地区では、地域住民や関係機関をネットワークでつなぎ、困りごとを抱えた方は「助けを求める力」を、地域の方々は「困りごとを抱えた方を受け入れる意識」を高め、助け合いのまちづくりを進めていくことを目的に、「羽沢プロジェクト」を立ちあげました。 プロジェクトを通じて地域の課題共有と分析を行う中で、他の地域から転入してきた方々が孤立化しやすいことがわかり、まずはその住民層にアプローチしていくことにしました。 参加してほしい方に出てきてもらい関係をつくるために、住民が中心となってあおぞら昼食会や星空ビアガーデンを開催。取組を通じて地域の状況やつながる場・居場所の必要性を実感できました。 こうした取組をきっかけに羽沢地区では集いの場が新たに13ヶ所立ち上がりました。現在も、認知症の理解啓発等、取組は広がりをみせ、地域事業への地元の企業や事業所の協力、活動者の増加等、まちの発展にもつながっています。 【40ページ】 重点項目<柱1-3> 誰もがお互いを受け入れ、共に支え合う意識の啓発と醸成 様々な人を受け止める地域の風土づくり 第3期市計画までに取り組んできた普及啓発活動や福祉教育等を通じて、多様性の理解や当事者を含めた地域のつながりづくりが進められています。 地域の中で、誰もが自らが望む暮らしが送れるようにしていくための第一歩として、同じ地域の住民同士が立場や背景を越えてお互いの存在を理解し受け入れる意識や、抱えている課題を受け止めていく意識を一層高めていくことが大切です。 住民相互のつながりづくり 近隣で困ったときに相談し合い助け合う関係性が希薄化している傾向にある中、共に支え合う地域の実現に向けて、住民が互いの多様性について理解を深め、つながりづくりを進めていく必要があります。 区役所等による啓発だけでなく、住民自らが、普段の暮らしの中で交流する機会や場を増やし、同じ地域に暮らす住民としてお互いを理解し、支援を必要とする人が必要なときに安心して助けを求められる関係を広げていくことが重要です。 柱1-3-1 多様性を理解し、同じ地域の住民として受け止められる風土づくり 柱1-3-2 住民相互が理解・協力し合う気持ちを育てるためのつながりづくり 目指す姿 個別課題や地域課題を他人ごとではなく「自分たちのまちにある課題」として捉え、地域住民と支援機関及び関係機関が一体となり課題解決のために行動することで、緩やかなつながりが形成される地域づくりが進んでいます。 様々な人が地域の中で交流し、対等で緩やかなつながりを持ちながらお互いの多様性を理解し、受け入れることができています。 国籍、年齢、性別、障害等、様々な立場や背景を越えて人々がお互いを認め合い、支え合えるような多様性の理解が地域の中で進んでいます。 地域住民等がお互いに支え合いながら必要な時に助けを求めることができるような、日常的につながる機会や場が確保されています。 重点項目1-3活動指標 多様性理解啓発プログラム*の実施回数(当事者啓発事業等) 現状値(平成29年度末) 360回 目指す方向性 ↗ * 多様性理解啓発プログラム:認知症・障害理解を目的にした福祉教育プログラム等のこと。 重点項目1-3活動指標 住民主体による地域の活動把握数のうち交流・居場所の数 現状値(平成29年度末) 6,723件 目指す方向性 ↗ 参考:住民主体による地域の活動把握数:7,504件(平成29年度末) 【41ページ】 コラム 都市計画マスタープラン地域別構想、地域まちづくりの支援 福祉・保健分野での目標を定めた地域福祉保健計画があるように、都市計画の視点からまちの将来像を描いたものが「都市計画マスタープラン」で、全市版のほか区ごとに策定されています。 このプランは概ね20年後の都市づくりの目標や方針を定めるもので、その内容は土地利用や環境、交通、街の魅力・活力、防災など幅広い分野にわたり、これらの活動における市民の皆さまのソフト面の活動にも及んでいます。このソフト面での施策や活動は地域福祉保健計画とも内容が重なるものが多くあります。 地域の活動は福祉、保健、まちづくりなどと区別して行われるものではなく、様々な要素が一体となって行われるもので、その活動を後押しするためにも今後一層、都市計画マスタープランと地域福祉保健計画の連動が重要となってきます。その実現の一つとして、都市整備局では市民の皆さんが主体的に取り組む自らのまちのプランやルールづくり、これらに基づく活動の支援を行っています。例えば、子どもの居場所の整備などの計画を盛り込み、推進することで地域福祉の充実も図ることができます。 URL:http://www.city.yokohama.lg.jp/toshi/kikaku/cityplan/master/ コラム 災害時要援護者支援の取組 教育委員会は、大きく変化する時代を見据え、今後概ね10年の教育の理念や方向性を示す「横浜教育ビジョン2030」を平成30年2月に策定しました。 「横浜の教育が育む力」の5つの視点の一つ「開:未来を開く志」では、自分を見つめ、多様性を尊重し、共生する力等を示しています。また、「横浜の教育の方向性」では、多様な価値観を認め、支え合う風土を醸成すること等を掲げています。学校だけでなく、家庭や地域、関係機関、企業等がこのビジョンを共有し、社会全体で子どもを育んでいきます。 学校では、例えば「総合的な学習の時間」において、福祉や環境等の横断的・総合的な課題や、地域や学校の特色に応じた課題を設定し、探究的な学習に主体的・協働的に取り組むとともに、互いのよさを生かしながら、積極的に社会に参画しようとする態度等を養っていきます。 1 横浜の教育が目指す人づくり 自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人 2 横浜の教育が育む力 「知:生きてはたらく知」「徳:豊かな心」「体:健やかな体」 「公:公共心と社会参画」「開:未来を開く志」 3 横浜の教育の方向性   多様性を尊重し、つながりを大切にした教育を推進します 【探究課題を「福祉」に設定した例】(「横浜市立学校 カリキュラム・マネジメント要領」総合的な学習の時間より) 学年 小学校 中学校 探究課題 地域の福祉の充実のために取り組んでいる施設や人々の思いや願い 育成を目指す具体的な資質・能力 まちに暮らす人々は、その立場によって様々な課題を感じていて、それらを解決しようと互いに協力・工夫していることが分かる 福祉に関して自分にできることがあることが分かり、実行しようとする 等 【42ページ】 柱1-3-1 多様性を理解し、同じ地域の住民として受け止められる風土づくり 国籍、年齢、性別、障害等、様々な立場や背景を踏まえた多様性の理解を広げます。 また、生活に困りごとを抱えている人がいることを認識するとともに、理解を深めるための機会、風土づくり及び環境整備に取り組みます。 地域における関係づくり 課題を抱えている本人だけでなく、家族の気持ちにも寄り添った支援をするとともに、必要に応じて本人の思いや現状を地域住民に伝える等、地域とつながるための働きかけの推進<市> 学校、地域の居場所(サロンや子ども食堂等)、関係組織(訓練会等)、作業所の交流等の推進<市社協> 様々な社会資源(国際交流ラウンジ、市民活動支援センター、市民利用施設等)、関係組織等と連携した交流の推進<市> 情報提供、地域福祉保健の視点で他分野と連携した地域づくり 地域住民が多様性を理解するきっかけとなるような、支援機関が把握している地域の状況や活動等についての情報提供<市> まちづくり等、関連する他分野と連携した地域づくりの推進、支援制度の周知<市> 広報・啓発 バリアフリー等の施設整備だけでなく、高齢者、障害者の理解促進や、思いやり、譲り合いの心を育む等、ハードとソフトが一体となった地域づくりの推進、福祉のまちづくり等に関する情報提供及び理解促進<市> 障害や年代、国籍等を越えてお互いを理解するため、関係局課におけるラグビーワールドカップ2019TM、オリンピック・パラリンピック等を契機とした啓発の実施<市> 伝える対象ごとにメッセージを明確にした地域福祉保健活動のPRの実施<市社協> 障害者等の当事者自身による理解促進の取組拡充<市社協> 「支える側」「支えられる側」の区別なく、誰であってもお互いさまの関係づくりを構築するための、区局連携による関係機関や地域に向けた啓発等の実施<市> 福祉教育、社会教育の推進 社会的孤立等、地域でも受け止めていく必要のある課題の提示と取組推進の支援<市社協> 多様性理解の啓発ツールの作成<市社協> 多様性理解啓発プログラムの検討と運用方法の提案<市社協> 【43ページ】 コラム 持続可能な住宅地推進プロジェクト(緑区十日市場) 持続可能な住宅地推進プロジェクトは、地域特性を踏まえ、市民、民間事業者、大学、行政等が連携しながら、地域課題(高齢化対応、子育て支援、医療・介護連携、多世代交流、地域交通、地域エネルギー等)の解決に取り組み、誰もが安心して暮らし続けられる、魅力あるまちづくりを推進する取組です。 緑区十日市場町周辺地域では、市有地を活用して、多世代が交流できる住宅や、広場、活動拠点、保育所、高齢者施設等の生活利便施設の誘導を進めています。 また、持続可能な住宅地の仕組みづくりとして、周辺地域の住民と新たな居住者の交流や、まちの魅力発信を目的としたエリアマネジメントの実施に向け、子育て支援拠点や地域ケアプラザ等の周辺施設や、様々な活動団体との連携など、多世代交流・地域交流の促進等を行っています。 コラム セイフティーネットプロジェクト・障害福祉啓発事業 市内15の障害児者関係機関・団体で構成されている「セイフティーネットプロジェクト横浜(Sプロ)」は、障害児者や家族が、自分たちにできることから取り組むことを大切にしながら、様々な活動を行っています。 コミュニケーションボードなど 自閉症や知的障害のある人のなかには、言葉のやり取りよりも、絵記号や写真等をつかうことでコミュニケーションがスムーズになる人もいます。Sプロは、分かりやすい絵記号の載った「コミュニケーションボード」と啓発チラシの作成・普及活動等を行っています。 出前講座の推進 障害者や家族、支援者が地域の会合等に伺って、災害時に避難場所等で、障害のある人へ支援いただきたいポイントやコミュニケーションボードの使い方等を、紙芝居等を使ってお話する「出前講座」の活動にも取り組んでいます。 緑と黄色のバンダナ 災害時等に障害のある人が必要な支援を受けられるように、「配慮が必要=黄色」「支援ができる=緑色」のバンダナなどを身に着ける運動を推進しています。 【44ページ】 柱1-3-2 住民相互が理解・協力し合う気持ちを育てるためのつながりづくり 地域住民が、対等で緩やかなつながりを持ちながらお互いを理解し、受け入れていくためには、地域の中でつながりがあることが大切です。こういったことを広く伝えていくために、地域住民が交流する機会の創出に取り組みます。 また、全ての人に役割があり、生き生きと参加できる場づくり、地域づくりを推進します。 広報・啓発 地域住民に幅広く地域福祉保健の取組、活動を知ってもらうための、日常生活で経験できる身近なイベント等を活用したPRの実施<市>誰もが役割をもって主体的に参加できる地域の居場所やフリースペースの事例及びその意義や効果の集約と発信<市社協> つながりのための機会づくり 既存のイベント等も含めた誰もが参加しやすい機会づくりの支援<市> 防災訓練・美化活動等の地域活動を通じて、地域住民同士が顔を合わせ交流ができるような場への支援<市> 対等な参加機会の確保 防災訓練・イベント等、地域の活動・行事への高齢者、障害者、子ども・若者等の参加促進<市社協> 地区社協の活動や話し合いの場への高齢者、障害者、子ども・若者等の参画促進<市社協> 【45ページ】 コラム 高齢者の地域貢献の事例 体力の低下等はあるものの、まだまだ元気な高齢者が、地域とのつながりの中で活躍し、健康の維持増進や生活の自立促進を目指して、各地区でさまざまな取組が進められています。 取組①金沢区富岡小学校花だん応援隊 小学生と学区内に住む高齢者が、一緒に校庭の花壇での植栽活動に取り組んでいます。活動2年目の効果として、高齢者の「認知機能」の上昇や「生きがい」の増加、「地域の人との付き合い」や「自己効力感(自分が地域貢献できると思うこと)」の向上が認められました。また、世代間交流により、高齢者にとっては小学生の成長を見守る喜びを感じることができたり、小学生にとっては高齢者との信頼関係づくりを通して社会性を学ぶ機会となるなど、高齢者と小学生の両者への効果も認められました。 取組②泉区中川地区里山夢プロジェクト 畑づくりを通じて、農作業のアドバイス、看板作り、小屋の修理など、高齢者がそれぞれの得意な力を発揮して、できることを無理なく、気軽に活動に参加することができています。収穫祭などのイベントでは、子どもとその親世代等幅広く地域住民を招き、多世代交流も進んでいます。活動2年目の効果として、高齢者の身体機能の一部向上や自分の居場所として皆とふれあう楽しみややりがいの実感などが認められました。   コラム 防災訓練から地域の担い手へ(南区蒔田地区) 蒔田地区には数か所の障害児者施設があります。お祭りなどの行事を通じた交流に加えて、障害のある方たちが地域の防災訓練にも参加し、物資の運搬等さまざまな係を担っています。 もともと、地域の方たちは地区内に障害者施設があることは知っていても障害のある人との接し方がわからず、災害時の避難場所での対応も課題になっていました。この現状について地区社協と南区社協で話し合い、施設に防災訓練への参加を呼びかけました。更に「日中、施設で作業などをしている方たちは、昼間に地震などの災害が起きた際、心強い助っ人になるのでは」と考え、要援護者としての参加ではなく「支える側」としての役割をお願いすることに。知的障害がある人たちには「この荷物を○○に運んでください」など具体的な声かけをする等みんなで工夫をし、力強い支え手として活躍しています。 訓練を通じてお互いを知ったことで、施設と地域の距離も近づき理解も深まりました。作業所「あいの木きょうしん」のメンバーたちは、地域の高齢者サロンのボランティアとして月に1回、継続的に活動するようにもなっています。 高齢化率の高い南区で、庭の手入れが難しくなってきた高齢者宅での草むしりや買い物サポート等、障害のある方たちの活躍が期待されています。 【46ページ】 重点項目<柱1-4>  地域福祉保健活動の推進のための人材育成と環境づくり 地域における人材づくり 自治会町内会や老人クラブ(シニアクラブ)、民生委員・児童委員(以下、「民生委員」といいます。)をはじめとする地域活動者のなり手不足や新たな担い手の発掘は、どの地域においても課題となっています。地域課題の複雑・多様化や人口減少の予測等を踏まえると、継続して地域福祉保健に関われる人材の確保・育成を進めていく必要があります。 市民一人ひとりが自分のできることから地域活動に関わっていけるような工夫や、次世代向け、リーダー層向け等、計画的な人材の確保・育成の方策が求められています。 コーディネート機能の向上 複雑・多様化する地域の課題への対応には、これまで以上に地域全体で連携・協働を進めていくことが必要です。地域福祉保健に関わる人材については、求められる役割に応じて、課題の解決に必要な力量を高めていくことが大切です。 地域にある支援機関、関係機関、地域活動者・団体等がそれぞれの特性に応じてコーディネート機能を高め、地域福祉保健活動の推進に向けた役割を果たしていくことが重要です。 環境づくり 地域福祉保健活動の推進において、場所、資金及び情報(ノウハウ等)は必要不可欠な資源であり、これらを確保することが継続的な課題として認識されています。 地域の施設を事業の拠点として活用することや、既存の制度や枠組みを生かした支援、柔軟な発想による取組が行われています。 誰でも利用できるという身近な地域の施設の利点や特性を生かして、見守り機能や居場所機能を高めている事例も見受けられます。人々がつながり、困りごとの相談やボランティア等による学習支援、子どもの居場所づくり等、生活課題の解決に向けた取組が今後も広がっていくことが望まれます。 既存の事業や地域にある資源を最大限に生かし、柔軟な発想も取り入れながら、地域福祉保健活動に活用していくことが大切です。 柱1-4-1 地域福祉保健活動を推進するための地域の人材づくり 柱1-4-2 地域福祉保健活動に求められるコーディネート機能の向上 柱1-4-3 活動資源を確保するための支援 目指す姿 多くの市民が、自分のできる範囲で地域福祉保健活動に関われる機会が生まれています。 支援機関や関係機関・団体、地域活動者の特性に応じたコーディネート機能が高められ、それぞれが連携・協働しながら地域福祉保健活動の推進に向けて役割を果たしています。 助成金、資金確保の手法、拠点、情報(ノウハウ等)等、地域活動の組織化・推進に必要な支援策が整備されるとともに、活動目的や支援ニーズに合わせて効果的に活用されています。 【47ページ】 重点項目1-4活動指標 ふれあい助成金*の助成団体数 現状値(平成29年度末) 2,547団体 目指す方向性 ↗ 重点項目1-4活動指標 区ボランティアセンターのボランティア登録者数 現状値(平成29年度末)8,420人 目指す方向性 ↗ * ふれあい助成金については54頁コラム参照 コラム 老人クラブ(シニアクラブ)の取組 老人クラブは、地域における高齢者の仲間づくりや健康づくりに取り組んでいる自主活動組織です。平成30年4月1日現在、市内には1,648の老人クラブがあり、113,046人の方が加入し活動しています。 趣味やスポーツなどの会員同士の活動の他にもサロンの開催等、老人クラブが中心となって地域の会員以外の方を対象とした活動も行っています。 友愛活動 会員一人ひとりが同じ世代の仲間を支え、地域に住む病弱な方や一人暮らし等の高齢者の見守りや話し相手を基本とした活動を行っています。 健康づくり・介護予防 地域での体操やウォーキング、シニアスポーツ等の実施を通して、健康寿命を延ばし、あわせて引きこもりの防止や、仲間づくりを進めています。 ボランティア活動 公園清掃、登下校時の児童の見守り、昔の遊びの伝承活動等の奉仕活動や多世代交流の取組を行っています。 コラム 消防団の取組 団員確保の取組について 平成25年12月「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」の施行を受け、平成30年度中に消防団員の条例定数充足率100%(8,305人)の目標を掲げ、人から人への直接広報をメインとした団員確保対策を実施しています。 主な成果 ・平成27年度、平成28年度消防団員増員数全国1位 ・2年連続総務大臣感謝状受賞 女性団員の確保について 平成9年度から女性消防団員の採用を始め、平成30年1月1日現在で1,276人の女性消防団員が活動しています。 20の消防団全てで女性消防団員が活動しており、団ごとに声楽隊やJKG48といったチームを独自で作り、市民に分かりやすく防災・減災のPRを行うなど女性の視点を生かして活動しています。 学生消防団員の確保について 消防団活動を積極的に活動している学生が、就職活動時にも評価されるよう、平成28年1月から横浜市学生消防団員活動認証制度の運用を開始。これに伴い、大学等の協力を得ながら、学生に対し、消防団活動の参加を呼び掛けています。平成30年3月1日現在、200人の学生が消防団活動に従事しています。 【48ページ】 柱1-4-1 地域福祉保健活動を推進するための地域の人材づくり 市民一人ひとりが、より良い地域づくりに向け、自分のできることを生かし、できる範囲で地域福祉保健活動に継続的に関われるよう支援します。 市民の地域活動への参加をきっかけに、地域活動の担い手として活躍してもらうための支援を充実させます。 主な取組 研修等の実施 社会参加や地域貢献のすすめに関する市民向けの研修等の開催<市> 各地域活動者を対象としたフォローアップ研修やリーダー層に向けた研修の実施<市・市社協> 趣味や特技等を生かして、誰でも気軽に地域活動に関わってもらえるような地域と人とのつなぎ役(コーディネート役*)の育成<市> * コーディネート機能については、柱1-4-2参照 広報・啓発 市民が地域活動について知り、参加するきっかけづくりのための広報の充実<市> 人材確保・育成支援 市社協の会員となっている地域の施設や団体と連携した施設等福祉人材の確保・育成支援<市社協> 区域、地区連合町内会圏域等における地域人材の発掘・養成に係る事例の集約と発信<市社協> コラム 地域での人材育成の取組 (瀬谷区瀬谷第四地区) 地区連合自治会と地区社協等の地域の方々、NPO法人等の中間支援組織、区役所の3者で連携しながら、地区別計画に掲げた地域の人材育成を目標に話し合いを進める中で、ボランティアへの参加意向や地域のために協力いただけること(趣味、特技など)についての全戸アンケートを実施し、3,700世帯中約200世帯から回答をいただきました。アンケート回答者を対象に、地域の現状を知っていただくため「地域活動フォーラム」を開催し今後の地域活動について意見交換し、子どもを支援する場づくりが必要という意見が出てきたことから、子ども向けのイベント「よんたくん広場」が生まれました。 アンケート回答者の皆様をはじめとする地域の方々が、自分の趣味、特技を生かした折り紙、手芸、エコクラフト、スケッチなどを、子どもたちに体験していただくほか、夏は花火大会、冬はクリスマスパーティーといった季節のイベントや、おいしいカレーをみんなで食べたりと、盛りだくさんの内容で地域の子どもたちも楽しんで参加しています。近隣の小学校の協力も得ながら年3~4回の頻度で開催しています。 【49ページ】 コラム 民生委員・児童委員 民生委員・児童委員は、地域からの推薦に基づき、厚生労働大臣から委嘱を受けた非常勤特別職の地方公務員で、全国で約23万人、横浜市内で約4,500人が活動しています。 自らも住民の一員という性格をもち、身近な相談者として、子育てや介護など生活上の相談に応じ、必要な支援への「つなぎ役」を担っています。また、主任児童委員は、子どもや子育て家庭への支援を専門に担当する民生委員・児童委員です。 民生委員制度は、その前身である「さいせいこもんせいど」が大正6年(1917年)に創設されてから、平成29年(2017年)に100周年という大きな節目を迎えました。その時代の社会情勢に応じたさまざまな活動に取り組み、長い歴史と実績を有しています。 横浜市民生委員児童委員協議会では、100周年を機に、「小さな気づき 寄り添う心 頼れる地域の「つなぎ役」」をキャッチフレーズに定め、「やりがいや魅力の発信」、「地域とともに支え合うまちづくり」を柱とした行動宣言をまとめました。誰もが笑顔で、安心・安全に住み続けられる地域づくりのため、次の100年に向かって力強い第一歩を踏みだしました。 コラム よこはま福祉・保健カレッジの取組 『よこはま福祉人材育成指針』で示された理念、「豊かな人間性と福祉の専門性を兼ね備えた人材の育成」の実現に向け、大学・専門学校・NPO法人・研修機関・職能団体等と全国社会福祉協議会等の研修情報を集約している機関、福祉保健研修交流センターウィリング横浜が連携・協力しています。その中で、専門性を生かした人材育成を推進するために、協働して研修を実施しています。 また、区役所・区社協と共に地域ニーズに応える研修等に取り組んでいます。詳細は、「よこはまの福祉保健研修情報サイトハマ・キャリ・ネット」に掲載されていますので、是非ご覧ください。 http://www.yokohama-kenshu.jp/ 【50ページ】 柱1-4-2 地域福祉保健活動に求められるコーディネート機能の向上 生活課題や地域課題の解決に向けて、区役所・区社協・地域ケアプラザが、地域の状況に合わせた多様な主体の連携・協働の支援ができるよう、コーディネート力向上のための人材育成等に取り組みます。 また、地域の課題解決や必要な人が必要な支援や活動につながるために、公的施設、関係機関、地域活動者・団体及び地域住民がそれぞれの特性に応じて力を発揮できるよう支援します。 コーディネート機能について 横浜市地域福祉保健計画では、第1期計画から市民を含めたコーディネート機能の強化に取り組んできました。地域福祉保健活動の推進に求められるコーディネート機能については、これまでの検討も踏まえて以下の図のように整理できます。 コーディネート機能とは、その基盤となる人を、人や団体・活動等に「つなげる・広げる」機能を中心に、「寄り添う・支える」、「生かす・育てる」、「創る」、「伝える」の5つの機能それぞれが連動することにより、より効果的な支援を可能にするものです。 つなげる・広げる ・コーディネート機能の本体生活課題や地域課題に応じて、個人を必要な支援につなげたり、多様な主体をつなげて解決へ導くこと。 ・生活課題の解決に向けては、課題を持つ本人を中心におき、その人らしい生活を実現していく視点が重要。 地域課題の解決へは、それぞれの特性を理解してつなげ、取組の効果を上げていく視点が重要。 寄り添う・支える ・福祉の基本的理念であり、人が人を理解したり、共感したり支えたりする関係性を築いていく上で最も大切なこと。 ・誰にも共通する基本姿勢であるとともに、役割に応じて専門的スキルも必要。 生かす・育てる ・個人の力を引き出したり、機関・団体の特性を最大限に発揮させたりすること。 ・活動の芽を発見し、働きかけ、組織化や活動へ繋げること。 創る ・新たな課題に合わせてサービスや仕組みを見直し、必要に応じて新たに創り出すこと。 ・ニーズや課題に対応したものであること、地域の中で合意形成を図りながら取り組むことが重要。 伝える ・多様性の理解や助け合いの大切さ、それぞれの考えや思いを伝えていくこと。 ・相手の立場に立って理解し、伝える対象に応じて分かりやすく伝えていく視点が重要。 【51ページ】 コーディネート力について ここでのコーディネート力とは、5つのコーディネート機能の総体を示しています。公的施設や関係機関、地域活動者・団体、地域住民のそれぞれの特色や強みによってコーディネート力に違いはありますが、それぞれが持つ力を更に高められるように努め、できる範囲でその力を発揮することが求められています。 更に様々な機関や団体が連携することにより、コーディネート力を総合的に高めていくことも可能となります。 主な取組 広報・啓発 ・地域住民に地域活動へ関わってもらうため、地域活動者等がつなぎ役や担い手の発掘役となることについての研修や広報等による働きかけ<市> ・地域活動者等が、地域をよく知る人や地域の世話焼き役等のキーパーソンも巻き込みながら課題解決することについての研修や広報等による働きかけ<市> 情報提供、取組の見える化 ・地域に関する様々な情報を収集し、地域特性や地域活動等、関係者間で情報共有できる場の開催<市> ・具体的支援・課題解決に向けた方策やイベント等の実施<市> ・公的施設、社会福祉法人・施設、事業者等、それぞれの特徴を生かした地域での活動や生活サポート活動の事例集約と事例発表の場を通じた情報発信<市社協> 研修 ・コーディネートの必要性の理解、実践事例の共有、実践に生かせるコーディネート手法の習得等、職員のコーディネート力の向上を目的とした区社協、地域ケアプラザ向け研修の実施<市・市社協> ・関係機関の既存のコーディネート役が、暮らし全般に関わる分野横断的なコーディネート力をつけるための研修等の開催<市> ・専門職だけではなく地域福祉保健活動に関わる全ての行政職員に対する研修の実施<市> ・個別支援対応力の強化等を目的とした地区社協、民生委員向け研修の実施<市社協> ・コーディネート役が支援を必要とする人に早期に気づき、行政や関係機関の支援(公助)等に的確につなげるための、行政や関係機関の相談先の明確化や情報提供・研修等の開催<市> 仕組みづくり ・地域と行政・専門職をつなげる中間支援組織のコーディネート役や、今後の方策につなげられるキーパーソンの育成・強化のための支援<市> ・地域では解決できないような生活課題や困りごとを抱えている人が、いつでも気軽に相談できる窓口となる人材の育成<市> ・地域の中で高齢者、障害者、子ども・若者、外国にルーツのある人等との出会いやつながる機会を創出する支援者の育成<市・市社協> 【52ページ】 参 考 ・支援機関、関係機関・団体、地域活動者・団体、地域住民等、地域にある様々な主体が、コーディネート機能を発揮して連携。 ・支援機関は生活課題や地域課題の解決に向けてコーディネートの中心を担う。 コラム 中間支援組織 中間支援組織は、市民団体や行政、大学、企業など様々な主体の間に立ち、情報収集・提供機能や、ノウハウや先行事例の提供、ネットワーク機能、コーディネート機能、行政に対する政策提言機能を持つ団体と言われています。 複雑化した地域社会が抱える課題の解決に取り組むためには、市民団体、行政、企業等が、それぞれの強みを出し合いながら課題解決に取り組む必要があります。そのような多彩な主体をつなぎ、連携を図り、自律的に課題解決ができるよう支援する役割や機能を持つ中間支援組織は、今後ますます重要になってくると考えられます。中間支援組織というと、NPOのサポートセンターや公設の市民活動支援センターやボランティアセンターが思い浮かぶと思います。しかし、市民活動団体の中には、個別の地域課題や社会的課題に専門性を発揮しながら取り組みつつ、様々な主体をつないだり、他団体にアドバイスをするなど、中間支援機能を発揮しているテーマ型団体も見受けられます。 【53ページ】 基礎編 ねらい 自らが置かれている現状を理解し、維持した上で、様々な関係づくりの方法を理解する。 対象 1年目 日数 8日 内容 考え方の理解(個別支援と地域支援の一体的な取組、地域アセスメント、市の施策理解、ファシリテーション、ネットワーク構築等) 応用編 ねらい 実践を振り返り、自らが置かれている現状からの発展・創出・見直しに生かす。 対象 3~4年目 日数 2日 内容 演習(ファシリテーション・実践事例の振り返り) 実践編 ねらい 実践を振り返り、自己の専門性を高めるとともに、実践内容を紐解き、モデルとなるコーディネーター像を具現化する。 対象 10年目~ 日数 1日 内容 演習(実践事例の振り返り) コラム 地区社協全体会(地区社協研修) 地区社協が「一人ひとりの困りごとを解決できる地域づくり」を目指すためには、目に見える活動の結果だけでなく、住民や関係団体によるネットワークや、話し合いを積み重ねるプロセスが重要です。 そこで、地区社協全体会(地区社協研修)では、以下の視点に着目しながら、地区社協の活動者に向けた実践の共有等を行います。地区社協が直面している課題や、それに向き合う取組を互いに知り合うことで、横浜の地区社協が、地域福祉活動の基盤としてより充実していくことを目指しています。 [地区社協活動の視点] ① 話し合いの場をつくる:困りごとを解決するための第一歩は「話し合う」こと。子育てや介護中の方、障害のある方など地域に暮らす多様な人が参加した話し合いが大切です。 ② 解決のための様々な活動をする:解決のための活動は「見守り」や「交流」「生活支援」など様々あります。今ある活動を工夫することで、新たな課題の発見や予防につながることもあります。 ③ 団体など身近な地域での活動を応援する:隣近所や自治会町内会などの身近な助け合いの仕組みづくりや横のつながりづくりなど、一人ひとりの困りごとに届く仕組みにするため、暮らしに寄り添う小さな活動を後押しすることも、地区社協の大切な役割です。 ④ 住民の理解を広げる:困りごとを解決できる地域づくりを進めるためには、福祉についての住民理解を更に広げることが大切です。 【54ページ】 <柱1-4-3> 活動資源を確保するための支援 地域力を向上させるため、既存資源の活用を含め、地域福祉保健活動の継続・発展・開発に必要な環境整備を進めます。 また、柔軟な発想による取組や新たな手法等の情報提供を通じて、地域の福祉保健活動を支援します。 主な取組 地域力向上のための場づくり ・活動に関する相談・支援を受けられる場としての地域ケアプラザ整備の推進<市> 支援策の整備 ・関係局課と協働し「地域にあって誰もが気軽に集える施設・場」*を活用したサロン等の様々な場づくりと、活動を継続するための支援(補助金事業等の利用可能な制度や事業の情報提供、申請支援等)<市> ・ニーズに合わせた助成金制度の見直し<市社協> * 「地域にあって誰もが気軽に集える施設・場」 ①公的施設:地域ケアプラザ、地区センター、コミュニティハウス、市民活動支援センター、地域活動ホーム、図書館、地域子育て支援拠点、老人福祉センター、スポーツセンタ-等 ②より身近な地域にあり近隣住民が集いやすい場:空き家、空き店舗、自宅の一部活用、お寺の協力等 情報提供、取組の見える化 ・財源の確保を含む課題解決手法の情報提供による支援<市社協> ・地域福祉保健活動における既存資源の利活用事例、先進的事例の集約と情報発信<市社協> ・市民利用施設等の機能を生かした見守り事業、居場所事業等、取組事例の集約と情報発信<市社協> コラム ふれあい助成金 よこはまふれあい助成金は、より豊かな市民社会の実現のために、市民の自発性のもと、横浜市内で行われる非営利な地域福祉推進事業や障害福祉推進事業の支援を目的として実施しています。障害者年記念基金・よこはまあいあい基金にいただいた寄付の他、善意銀行や共同募金からの資金を含め、平成29年度は2,547団体に対し、148,981,831円の助成を行いました。 ・市社協受付分(横浜市地域福祉保健計画助成) 横浜市地域福祉保健計画に沿って、新たに取り組む先駆的な事業に対する支援事業 等 ・区社協受付分(継続的奨励助成) 自発的で非営利な地域福祉推進事業や障害福祉推進事業 等 【55ページ】 第2章  推進の柱2 身近な地域で支援が届く仕組みづくり 推進の柱2 身近な地域で支援が届く仕組みづくり 柱2-1 見守り・早期発見の仕組みづくり  2-1-1 見守りの輪の拡大  2-1-2 気づきをつなぐ、情報共有の仕組みづくり 柱2-2 連携・協働による地域の生活課題を調整・解決する仕組みの充実  2-2-1 地域の中で地域住民と関係機関が連携し、支え合う仕組みづくり 2-2-2 地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり 柱2-3 身近な地域における権利擁護の推進 2-3-1 関係機関等と連携した権利擁護の推進 2-3-2 成年後見人等への支援の促進 柱2-4 幅広い住民層が取り組む地域の健康づくり活動の充実 2-4-1 地域とのつながりづくりや連携を通した健康づくりの推進 柱2-5 支援が届く仕組みをつくり、機能させるための環境づくり 2-5-1 必要な支援が届く仕組みづくりに活用できる施策の推進 【56ページ】 重点項目柱2-1 見守り・早期発見の仕組みづくり 現状と課題 見守り活動の推進 ・区計画・地区別計画による取組や、災害時要援護者支援等を通じて、地域主体の見守り活動が進められています。 ・地域には社会的孤立や生活困窮、いわゆる「ごみ屋敷」*等、既存の制度だけでは解決が困難な問題があります。こうした問題を含めて、地域に潜在している生活課題は多くあるため、早期に発見し対応していくことが重要です。 ・これまでの取組を生かしながら地域主体の見守り活動を更に推進するとともに、民間協力事業者による緩やかな見守りと合わせ、地域での気づきの目を広げていくことが求められています。 ・認知症やロコモティブシンドローム**等、徐々に心身の機能が低下することへの受止めが困難な人を早期に把握することが求められています。 * いわゆる「ごみ屋敷」については第2章67頁コラム「ごみ問題を抱えている人への支援事業について~いわゆる「ごみ屋敷」問題~」参照 **ロコモティブシンドローム:骨や関節、筋肉等の運動器の障害や移動能力を低下させてしまい要介護になる危険の高い状態をいいます。 気づきをつなぐ体制づくり ・地域の身近な福祉保健の拠点・相談窓口として地域ケアプラザの整備が進められるとともに、高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野においても相談窓口や支援体制が充実してきています。 ・住民による活動と支援機関等による専門的なサポートを組み合わせることで、困りごとを抱えている人を早期に発見し、対応する体制となるよう、住民・住民組織と支援機関等がお互いの持っている情報を適切に取り扱い、共有する取組を広げていくことが必要です。 柱2-1-1 見守りの輪の拡大 柱2-1-2 気づきをつなぐ、情報共有の仕組みづくり 目指す姿 ・個人情報の適切な取扱いについて正しく理解し、適正かつ効果的に活用し、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野に捉われない見守り体制の構築に向けた仕組みづくりが進んでいます。 ・どこに相談しても必要な機関につながる体制づくりが進んでいます。 ・生活課題が複合化・深刻化する前の段階で早期に発見され、適切な支援につながっています。 【57ページ】 重点項目2-1活動指標  災害時要援護者支援の取組を実施している自治会町内会の割合 現状値(平成29年度末)85.1% 目指す方向性↗ 生活困窮者自立支援制度相談者数* 現状値(平成29年度末)4,975件 目指す方向性↗** *18区生活支援課及び若者サポートステーションにおける相談者数 **地域には支援を必要としているにも関わらず、いまだ制度を知らない方も多く、潜在的な支援ニーズの掘り起こしが必要と考えていることから、目指す方向性を↗(増加)としています。 コラム 災害時要援護者支援の取組 災害による被害を減らすには、日ごろからの備え(自助)と地域での助け合い(共助)が欠かせません。高齢者や障害者等、特に地震等災害発生時に、自力で避難することが困難な方々(災害時要援護者といいます。)の安否確認や避難支援等が迅速に行われるためには、日頃からの要援護者との関係づくりや地域での声掛け見守り等が重要です。 災害時要援護者支援の取組は、対象者を把握することから始まります。横浜市では、地域のこうした取組を支援するため、行政が保有する情報をもとに、特に避難行動が困難だと考えられる方々の名簿を作成し、個人情報の取り扱い等を定めた協定を締結いただいた自治会町内会等に、この名簿を提供しています。現在、地域により様々な方法で行われていますが、主に3種類の方式があります。 同意方式 区役所から自主防災組織等に、「名簿提供について同意した対象者の名簿」を提供する方式 情報共有方式 区役所から自主防災組織等に、「名簿提供に対し拒否の意思表示をしなかった対象者の名簿」を提供する方式 手上げ方式 地域で災害時要援護者名簿への登録について周知し、自ら記録を希望する人を募ることにより名簿を作成する方式 地域における災害に備えた日頃の取組として、要援護者を把握したら、あいさつや見守り等を通した加温お見える関係づくりや、地域の支え合いの輪に要援護者自身にも入っていただくための働きかけなど、日ごろの活動を進めていくことが大切です。 【58ページ】 柱2-1-1 見守りの輪の拡大 困りごとを抱えている人を早期に発見するため、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野や対象者に捉われない見守り体制や、見守りの意識を広げるための取組を進めます。 主な取組 広報・啓発 ・家族や近所の人等、周囲の人の変化に気づき、身近な支援機関や支援者、行政等につなげる大切さを幅広く市民に伝えるためのPRの実施<市> ・困りごとを抱えている人に早期に気づき、支援につなげる相談窓口(関係機関)の周知<市> ・困ったときに自ら声を上げやすいよう、日頃から地域とつながることの大切さやメリットについて、SNSや回覧、お祭り等の行事をはじめ様々な媒体や機会を利用した周知<市> 様々な主体との連携促進 ・日頃の活動を通して地域住民等の変化に気づく意識を広めるための、企業、商店、施設、NPO法人等との連携の推進<市> ・支援が必要な人だけでなく、その予兆がある人を受け止め必要な支援につなげるための、地域や関係機関・学校・企業等のネットワーク構築の推進<市> ・住民・住民組織と企業、商店、施設、NPO法人等、地域にある様々な主体による見守りの事例集約と情報発信<市社協> ・集約した事例やノウハウの活用による見守り協力企業等と区社協をつなぐ支援<市社協> 見守りの仕組みづくり、実践への支援 ・要援護者マップ等の手法の運用支援を通じた見守り活動の拡充<市社協> ・災害時要援護者支援等を通じた、災害時だけでなく平時における地域主体の見守り活動への更なる支援<市・市社協> ・外出中に道に迷う可能性がある高齢者や障害者の見守り支援に向けた、市域の連携による仕組みづくり<市・市社協> ・障害者等の当事者への理解と見守りを広げていくための取組の検討<市・市社協> ・地域のサロンや配食活動等の見守り機能の充実に向けた、区社協、地域ケアプラザへの先駆的事例の情報提供<市社協> ・住民の立場で見守り活動に協力するサポーターの養成<市社協> 参加の場づくり ・日頃から地域とつながるための地域の中で気軽に参加しやすい場づくり<市> ・困りごとを抱えている人が地域にいることを知り、受け入れる意識づくり<市> 【59ページ】 コラム ひとり暮らし高齢者等の把握と地域における見守り活動等へのつなぎ 高齢化や核家族化に伴い、ひとり暮らしの高齢者が増えてきています。ひとり暮らし高齢者は、地域との関わりが希薄になって孤立しやすい、ケガや病気になった場合に頼れる先がないなど、地域で安心して暮らす上での課題を抱えている方も多くいらっしゃいます。こうした方に対しては、民生委員や地域包括支援センター(地域ケアプラザ等)が状況を把握し、相談に乗ったり、地域における見守り活動につなげたりして支援しています。一方で、プライバシーの尊重や、防犯意識の高まりなど、ご近所同士のつながりが薄くなったことで、課題を抱えた方の把握が難しくなってきています。そこで横浜市では、行政が保有する75歳以上のひとり暮らし高齢者等の情報を民生委員や地域包括支援センター(地域ケアプラザ等)に提供し、ひとり暮らし高齢者等の状況把握が進むよう支援しています。 支援を必要とするひとり暮らし高齢者を把握したときは、状況に応じて相談支援や地域における見守り活動等に的確につなげられるよう、民生委員、地域包括支援センター(地域ケアプラザ等)、区福祉保健センターが情報共有しながら地域の実情に応じた日常的な見守りにつなげていきます。 コラム 進めています!困難を抱える若者への地域ぐるみでの支援 不登校や友人関係の悪化、就職活動でのつまずきなどをきっかけに、ひきこもり状態になり、社会活動に参加できなくなっている若者がいます。こうした若者は、外部との接点が少ないため社会から孤立しがちです。 横浜市では、若者の自立に向けた支援として、青少年相談センター・地域ユースプラザ・若者サポートステーションで、困難を抱える若者やご家族からの相談をお受けし、ご本人の状態に応じた段階的な支援を行っています。 例えば、市内4か所の地域ユースプラザでは、方面別に、地域の関係機関や親の会などでネットワークを形成し、定期的に連絡会を行っています。 連絡会では、民生委員から挙げられる「地域にいるひきこもり状態の若者へのかかわり方」、高校の先生から挙げられる「不登校をきっかけに退学してしまいそうな学生への対応」などの事例検討、支援機関や福祉制度についての研修などを行っています。 ネットワークの活動を通じて、ひきこもり等の困難を抱える若者への理解が深まり、地域ぐるみで支援できるよう取り組んでいます。 【60ページ】 柱2-1-2 気づきをつなぐ、情報共有の仕組みづくり 困りごとを抱えている人に気づき、相談窓口につなぎ、地域と関係機関等が連携して支援を行う仕組みづくりを進めます。 また、支援機関や関係機関が、地域の会議等で困りごとを抱えている人の情報を共有し、必要な支援につなげる仕組みづくりを進めます。 主な取組 相談・支援体制づくり ・地域共生社会の実現に向けた、地域を「丸ごと」*支える包括的な相談・支援を推進(再掲)<市> ・相談等が必要な人を支援機関へつなげられるよう、地域住民の意識の浸透の推進<市> 情報共有の仕組みづくり ・既存のネットワーク(地区別計画の懇談会等)での、地域と関係機関との情報共有の推進<市> ・民生委員と地域包括支援センターによる定期的な情報共有等、各地域の状況に合わせた住民・住民組織と支援機関相互の情報共有の仕組みづくりの推進<市社協> ・地域にある見守り活動と区社協、地域ケアプラザが連携した情報共有の仕組みの事例の集約と発信<市社協> ・外出中に道に迷う可能性がある高齢者や障害者の見守り支援に向けた、市域の連携による仕組みづくり(再掲) <市・市社協> ・障害者の理解と見守りを広げていくためのサポーター養成の検討<市・市社協> 広報・普及啓発 ・各関係機関や福祉保健関係者等と連携した福祉保健等の制度の周知促進<市> * 「丸ごと」については第1章5頁参照 【61ページ】 コラム 自殺対策・ゲートキーパーの紹介 「ゲートキーパー」という言葉を聞いたことはありますか? ゲートキーパーとは、家族や友人など身近な人のいつもと違う様子に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要 に応じて専門家や相談窓口につなぎ、見守る人のことです。 健康問題、過労、生活困窮、育児や介護疲れなど様々な要因により、心理的に追い込まれた末に「自殺」に至ることがあり、それは、「誰にでも起こりうる危機」です。 国内の自殺者数は、平成29年でも依然として2万人を越え、また、横浜市でも495人と、かけがえのない命が日々、自殺に追い込まれているという非常事態はいまだ続いています。 そうした状況に早めに気づき、身近な人が「ゲートキーパー」になっていただけるよう、横浜市では、ゲートキーパーの役割等についても学ぶ機会となる自殺対策に関する研修会を開催しています。これまでの受講者は、市民の方をはじめ、市職員や民生委員、相談機関の方々など累計約2万人となっています。誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、引き続き、ゲートキーパーの養成を進めていきます。 コラム 横浜市認知症高齢者等SOSネットワーク 横浜市認知症高齢者等SOSネットワークは、認知症の人を日ごろから見守り、認知症により行方不明となる人の早期発見や安全確保のために、地域の関係者や関係機関(区役所・地域ケアプラザ・警察・消防・医療機関・福祉施設・地域団体・公共交通機関・民間企業等)でつくるネットワークです。認知症の人の事前登録や行方不明時の情報提供など、認知症の人と家族が安心して暮らせる地域づくりに取り組んでいます。 ・行方不明になった際、家族からの連絡を受けて、関係機関に発見への協力を依頼します。 県と連携し、市外や県外への自治体へも協力依頼ができます。 ・認知症による行方不明が心配な人は、事前登録をすることで、もしもの時に早く関係機関へ情報提供ができるほか、警察へ捜索を依頼する時に必要な情報の整理もできて安心です。 横浜市では、認知症の正しい理解を広め、地域の中で支え合う風土づくりのために、「認知症 やさしいまなざし あったかハート」をキャッチフレーズに、認知症の人と家族が安心して暮らせるまちづくりを進めています。 【62ページ】 重点項目 柱2-2 連携・協働による地域の生活課題を調整・解決する仕組みの充実 現状と課題 連携し支え合う仕組みづくり ・地域福祉保健計画の推進や各制度に位置付けられた取組を通じて、困りごとを抱えている人を地域住民と支援機関・関係機関が連携して支援する体制が構築されてきています。 ・増えつつある複合的な生活課題を含め、個々の状況に応じて日々の暮らしを総合的に切れ目なく支えていくために、これまで進めてきた連携・協働の取組を住民の生活により身近な地域で広げていくことが必要です。 課題解決の仕組みの創出、事業化・施策化 ・高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野で、区域、日常生活圏域における個別の生活課題や地域課題の共有、個別支援を検討する場ができています。 ・複合化・多様化する生活課題、地域課題に対応するために、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野を越えた連携による取組が求められます。 ・地域住民と支援機関・関係機関の連携・協働により地域課題を共有し、解決するための取組については、地域福祉保健計画の推進等を通じて広がりを見せています。一方で、複数の地域で共通する課題に対して、事業化・施策化等により解決するための取組が十分ではない状況です。 ・住民の生活により身近な地域で地域課題を共有・解決するための取組が充実するとともに、複数の圏域における共通の課題を解決するための事業や施策を実施できる体制の構築を進めることが必要です。 柱2-2-1 地域の中で地域住民と関係機関が連携し、支え合う仕組みづくり 柱2-2-2 地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり 目指す姿 住民の生活により身近な地域で困りごとや生活課題を受け止め、住民・住民組織と支援機関、関係機関が地域課題を共有し、協働による課題解決に向けた取組が広がっています。 ・関係機関において、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野を越えて地域の課題を共有し、共通する地域での生活課題の解決に向けた検討や、具体的取組を行っています。 ・困りごとや生活課題を支援する取組と、地域課題の解決に向けた取組が連動しながら、重層的な仕組みとして機能しています。 重点項目2-2活動指標 生活困窮者自立支援制度  支援調整会議の開催数 現状値 55回 目指す方向性 → 【63ページ】 コラム 生活困窮者自立支援制度 生活困窮者自立支援制度は、「なかなか仕事が見つからない」「家計のやりくりに悩んでいる」等の様々な事情により生活にお困りの方が周囲から孤立することなく安定した生活が送れるよう、お一人おひとりの状況に応じた包括的な支援を行うため創設されました。 各区の生活支援課に窓口を設け、就労に関する相談支援や家計の見直し、子どもの学習支援等を行っています。 また、経済的な困りごとだけにとどまらず、家族関係や心身の不調など、複合化・多様化している生活課題の状況に合わせ、関係機関等との連携・協働によりチームで支援に取り組んでいます。 生活にお困りの方が少しでも早く相談につながることや社会への参加を促 進していくためには、身近な地域との連携が重要です。各区においては住民主体のサロン活動や見守り活動等、地域とのネットワークづくり、「相互に支え合う」地域づくりを目標に各事業を推進しています。 ・横浜市では、 ①包括的な相談支援の充実 ②支援のためのチームづくり ③お互いに支え合える地域づくり の3つの視点から、生活困窮者の自立と尊厳の確保、生活困窮者支援を通じた地域づくりを目指しています。 【64ページ】 参 考 圏域に応じた公民連携による相談・支援、生活課題・地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくりの例 ①支援が必要な人の早期発見の仕組み ・配食サービス・会食会、サロン活動、ボランティア活動等をする中で、地域で気になる人の情報が把握されたら、住民やボランティアから民生委員等を通じて支援機関にその情報が届き、具体的な支援につながる仕組みを充実させます。また同様に、専門機関の相談事業や事業者のサービス等の利用者で地域のサポートが必要な人の情報が、支援機関を通じて民生委員等に伝わるようにします。 ②生活支援の具体策の検討 ・民生委員等に情報提供する身近な地域の協力者が増えるよう、支援機関は区民生委員児童委員協議会、地区社協等と協力して、この取組を進めます。 ・支援が必要な人に対して、行政や地域がどのような支援を行うのか検討する場を設けます。具体的には、地域ケアプラザがコーディネート役となり、専門機関・関係団体や民生委員等の地域人材の参画を得て、見守りネットワーク等で把握された課題への対応策を検討します。 ③新たな仕組みや制度の検討・既存の会議の見直しや活用 ・既に実施している様々な区域の専門的支援ネットワークからの報告や情報を活用し、区内の支援機関やサービスに関わる事業者等による実務者レベルの検討会議を開催し、地域や個々の専門機関・関係団体だけでは解決できない課題を明確にし、新たな仕組みや制度の整備を検討します。 【66ページ】 柱2-2-1 地域の中で地域住民と関係機関が連携し、支え合う仕組みづくり 住民の生活により身近な地域で困りごとや生活課題を受け止め、支援機関、関係機関と住民等が連携して解決していけるよう、お互いの役割の理解の促進と、課題解決に向けた体制づくり・仕組みづくりに向けた支援に取り組みます。 主な取組 研修等の実施 ・行政をはじめ、地域ケアプラザや基幹相談支援センター、地域子育て支援拠点等、支援機関及び関係機関の専門職が、制度の狭間の課題に対して、その専門性を生かし積極的に支援に関わる意識づくりのための研修の実施<市> ・複合的な課題や困りごとを抱えている人への支援方法に関する事例の共有<市> ・地域住民と支援機関・関係機関が協働した個別支援及び早期発見の仕組み、生活課題への支援策の検討等、重層的な支援体系について、研修や会議等を通じて区社協や地域ケアプラザにその視点が醸成され、理解が深まるよう支援<市社協> 相談・支援体制づくり ・複合的な課題に、地域住民と関係機関が連携して対応するための包括的な相談・支援を推進<市> ・施策化・事業の見直し等、必要に応じた市域における個別支援策の取組の検討<市・市社協> ・身近な地域のつながり・支え合い活動推進事業等を通じた、地域における切れ目のない支援とそれが実現できる地域づくりへの実践の方向付け・支援<市社協> ・連携・協働が必要な機関、施設との調整やネットワーク化への支援<市・市社協> ・区社協、地域ケアプラザの実践に基づく手引きの作成・見直し<市社協> 取組の見える化 ・実践の更なる発展を目的とした事例発表の実施<市社協> 【67ページ】 コラム ごみ問題を抱えている人への支援事業について~いわゆる「ごみ屋敷」問題~ 近年、家の内外にごみ等をため込んでしまい、悪臭や害虫を発生させるなど、本人又は近隣住民の生活環境に影響を及ぼす、いわゆる「ごみ屋敷」が社会問題として取り上げられる機会が増えてきました。 その背景には、加齢や疾病による身体機能・判断能力の低下、経済的困窮、地域からの孤立など、様々な課題があり、今日の社会が抱える地域課題の一つです。 この問題の根本的な解決には、ごみを撤去するだけでなく、当事者に寄り添い、福祉的な支援を通じて背景にある課題を解決することが必要です。 平成28年12月1日に施行した「横浜市建築物等における不良な生活環境の解消及び発生の防止を図るための支援及び措置に関する条例」では、福祉的支援に重点を置き、市役所だけでなく、地域住民、関係機関とも連携し、取り組むことを基本方針としています。 * 家の内外にごみ等をため込み、近隣の生活環境に様々な影響を及ぼす状態の住宅を表す用語がないことから、それらの状態を表す言葉として、いわゆる「ごみ屋敷」という表現を用いています。 コラム 地域ケア会議について 地域ケア会議は、多職種の協働のもと、高齢者の自立支援に資するケアマネジメントを支援し、地域の方々とともに地域で高齢者を支えるネットワークを構築するとともに、具体的な地域課題やニーズを必要な社会基盤整備につなげていく一つの手法です。 個別ケースの検討を行う会議を始点として、包括レベル、区レベル、市レベルの地域ケア会議が重層的に構成されており、各レベルで解決できない課題は、より広域レベルで検討し、資源開発や政策形成にまでつなげていきます。また、その結果をフィードバックすることで個別支援に生かします。 【68ページ】 柱2-2-2 地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり 高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野から見える課題や地域から見える課題を、支援機関・関係機関と住民等で共有し、協働による課題解決に向けた取組を一層推進します。 主な取組 地域課題の共有 ・高齢者、障害者、子ども・若者だけでなく、生活困窮者を含め、地域で困りごとを抱えている方の課題を分野横断的に協議する場の検討<市> ・社会的孤立や生活困窮等、1~6層の各圏域*で解決に向けた検討が必要な共通の地域課題の提示<市社協> * 「1~6層の各圏域」については第1章9頁「地域福祉保健計画における圏域の考え方」参照 研修等の実施 ・関係団体・関係者に対し、連携の必要性に関する意識啓発のための研修実施<市> ・区役所・区社協・地域ケアプラザ対象の研修や連絡会議等において、「住民・住民組織と関係機関が協働した地域課題の把握・共有・検討・解決の仕組みづくり」の視点が醸成され、理解が深まるよう支援<市・市社協> 協働に向けた仕組みづくり ・地域住民や支援機関、関係機関の協働による地域課題の解決に向けた仕組みづくり<市> ・連携・協働が必要な機関、施設との調整やネットワーク化への支援(再掲)<市・市社協> ・区社協、地域ケアプラザの実践に基づく手引きの作成・見直し(再掲)<市社協> 地域課題の解決に向けた取組への支援 ・市域における共通の地域課題解決へ向けた、施策化・事業の見直しの実施<市・市社協> ・身近な地域のつながり・支え合い活動推進事業等を通じた、地域における切れ目のない支援とそれが実現できる地域づくりへの実践の方向付け・支援(再掲)<市社協> 取組の見える化 ・実践の更なる発展を目的とした事例発表の実施(再掲)<市社協> 【69ページ】 コラム 身近な地域のつながり・支えあい活動推進事業 横浜市社協では、平成25年度から「身近な地域のつながり・支えあい活動推進事業(身近事業)」に取り組んでいます。この事業は、社会的に孤立し、制度の狭間で必要な支援に結びついていない方を同じ地域で暮らす住民の気づきを生かして早期に発見し、必要に応じて専門職による支援につなげ、地域住民とともに、地域の中でその人らしい居場所と役割を見出して、暮らしていけるようにすることを目的とした取組です。 身近事業は「事業」という言葉が使われていますが、その本質は地域支援のアプローチの視点です。 (取組事例) ある日、認知症の妻を介護する夫が「妻に暴力をふるってしまうことがある…自分が変わっていってしまう」と涙ながらに近隣住民に告白していたことが分かった。 それを聞いた区社協は、地域ケアプラザ、行政、住民と話し合いを重ね、妻は専門サービスで対応し、夫は地域の力で支えることに。 夫の気持ちに寄り添い、「昔の仲間とリフレッシュの時間を持とう」という地域からの投げかけに、夫は号泣しながらうなずき、徐々に気力を取り戻していく。 報告書「個別支援と地域支援の融合」に本事業の事例を複数掲載。横浜市社協ホームページからダウンロード可能。 http://www.yokohamashakyo.jp/chiiki-dukuri.html  コラム 地域の生活課題を把握・調整・解決する仕組みの充実 個別支援のためのネットワーク 地域ケアプラザが中心となり、個別支援に関わる人々をつなぎ、共に支援策を検討します。 地域単位のネットワーク 地区連合町内会(3層)や、日常生活圏域(4層)において、共通する個別課題を地域課題と捉えて、支援策を話し合います。  区域 個別支援から把握した地域課題を区内の地域ケアプラザや他機関・団体等とで共有し、区の課題と捉え支援策を話し合います。 市の施策へ 個別支援のためのネットワークで見出した共通する個別課題を、地域課題と捉えて支援策を検討しつつ、区における「地域の基盤づくり」や「区の施策検討」にもつなげます。その結果、より質の高い個別支援ができるようになることを目指します。 【70ページ】 重点項目<柱2-3> 身近な地域における権利擁護の推進 現状と課題 権利擁護 ・高齢者を狙った悪徳商法や障害者に対する財産搾取、虐待等、重大な権利侵害の事例が増加しています。 ・少子高齢化、単身世帯の増加等により、高齢者・障害者を地域で支える権利擁護のニーズが増加しています。 成年後見制度 ・制度の理解促進のための広報等も多く行われていますが、地域の理解が十分に進んでいない状況が見られます。 ・制度利用の実態では、障害者の利用が進んでいない状況が見られます。 法人後見の普及・啓発事業 ・横浜市では平成26年度より、成年後見制度法人後見支援事業に取り組んでいます。 市民後見人養成・活動支援事業 ・横浜市では平成24年度より、市民後見人の養成を開始し、平成29年度末で32名が市民後見人として活動しています。 その他の課題 ・新たな課題として、既存の制度やサービスだけでは対応しきれない「身元保証(保証問題)」や「死後事務」等があります。そのような課題に対し、個人では対応することが困難な人への新たな支援手法を構築していく必要があります。 柱2-3-1 関係機関と連携した権利擁護の推進 柱2-3-2 成年後見人等への支援の推進 目指す姿 ・成年後見制度の認知や理解が地域や支援機関の中で進み、制度の利用が促進されることで、高齢者や障害者が自分の力を生かしながら、地域の中で生活を送ることができています。 ・国の成年後見制度利用促進基本計画を踏まえ、横浜市としての成年後見制度等の権利擁護を推進するため、中核機関*の設置等、権利擁護に関する相談体制や地域連携ネットワークが整備されています。 *中核機関:相談対応や専門職によるサポートのコーディネート等を行うとともに、各地域における連携ネットワークを形成・強化していくため、法律専門職団体、社会福祉専門職団体、医療・福祉の関係団体等をはじめとする関係者からなる協議会等の事務局機能を担うものです。 【71ページ】 重点項目2-3活動指標 あんしんセンター契約件数 現状値(平成29年度末) 1,028件 目指す方向性↗ 重点項目2-3活動指標 横浜市市民後見人受任者数 現状値(平成29年度末) 32人 目指す方向性↗ コラム 成年後見制度とは 成年後見制度 認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の十分でない方は、財産の管理や、健康や生活状況の維持向上のために介護などのサービスや施設への入所・病院への入院に関する契約を結んだりする必要があっても、自分で判断することが難しい場合があります。 また、自分に不利益な契約や、本来不必要な契約であっても契約をしてしまうなど、悪徳商法などの被害にあうおそれもあります。こうした自分ひとりで判断することが難しい方に対し、法的な権限を持って支援するのが成年後見制度です。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。成年後見人等は、本人の意思を尊重し、健康や生活状況に配慮しながら、本人に代わり財産管理や契約などの法律行為を行うことになります。 法定後見制度 本人や配偶者、四親等内の親族等が家庭裁判所に申立てを行い、家庭裁判所が本人の援助にあたり適切な方を選任し、本人の支援をする制度です。本人の判断能力の状況によって「後見」「保佐」「補助」の3つの類型があり、家庭裁判所が決定します。 任意後見制度 判断能力が十分なうちに、あらかじめ自分で選んだ代理の方と任意後見契約を結び支援の内容を約束しておく制度です。 本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されてはじめて任意後見契約の効力が生じます。この手続きを申し立てることができるのは、本人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見受任者です。  成年後見制度について詳しく知りたい場合は、区役所、区社協、地域ケアプラザ、基幹相談支援センター等で、パンフレットを配布していますので、ご相談ください。 また、弁護士等の専門職団体等でもご相談を受けつけています。 【72ページ】 柱2-3-1 関係機関等と連携した権利擁護の推進 成年後見制度等の権利擁護を必要とする人を早期に発見し相談対応をしていくため、必要な広報等を各専門職団体・関係機関等と連携して実施します。また、制度を活用するに当たり、必要な制度・体制を整備します。さらに、自己決定の支援に向けた必要な取組を進めます。 主な取組 広報 ・各専門職団体・関係機関と連携し、支援者等へ成年後見制度等の権利擁護に関する制度についての広報の推進<市・市社協> ・対象者等に合わせたパンフレットや動画等を用いた広報媒体の作成<市・市社協> 中核機関の設置・ネットワーク構築 ・横浜市にふさわしい中核機関及び地域連携ネットワークについて、他分野の会議体等を踏まえた体制整備の検討<市・市社協> 申立て支援 ・成年後見制度利用支援事業における、本人及び親族申立ての際の申立て費用の助成の検討<市> 権利擁護に関する取組 ・新たな課題である「身元保証」「死後事務」に関する事業実施に向けた支援手法の検討<市・市社協> ・エンディングノートやあんしんノート等、自己決定の支援のための取組の推進<市・市社協> ・権利擁護事業を実施する区社協あんしんセンターへの支援、関係機関との連携等、区域の権利擁護事業推進に関する支援の実施<市社協> ・障害者後見的支援制度等の、当事者を中心とした見守りネットワークの構築・拡充<市社協> 【73ページ】 コラム 障害者後見的支援制度 横浜市障害者後見的支援制度は、障害のある人が住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、横浜独自の制度として平成22年10月からスタートしました。 18歳以上の障害のある人が居住区の後見的支援室に登録して利用します。 後見的支援室では ①本人や家族から、本人の生い立ちや現在の生活の様子、家族が生活の中で配慮していること、将来の希望・不安などを伺い、本人や家族の想いに寄り添いながらこれからの暮らしを一緒に考えています。 ②本人と日常からつながりのある人を確認しながら、地域の方たちに「あんしんキーパー」として協力いただき、本人の暮らしを支えるネットワークづくりに取り組んでいます。 主な役割 ・「あんしんキーパー」 身近なところでさりげなく本人を見まもる。 ・「あんしんサポーター」 日中活動の場や暮らしの場など、本人のところへ定期的に訪問する。 ・「あんしんマネジャー」 本人が望む暮らしをどのように支えていくかを考え、その暮らしが実現できているか定期的に確認する。 ・「担当職員」 障害のある人や家族にこの制度を伝えたり、あんしんキーパーとして協力していただく人を増やすなど、この制度を地域に広げていく。 ※平成30年6月末現在、利用登録者数1,431名、あんしんキーパー1,455名(延べ人数)となっています。 コラム 高齢者や障害者に対する消費者被害を地域で防ぐ 横浜市消費生活総合センターでは、近年高齢者や障害者からの相談が急増しています。 ご本人が消費者被害にあっていることに気づかない場合や、誰にも相談できず次々被害にあってしまうケースもあります。具体的な相談内容等としては、「知らぬ間に高額請求がきた」「クーリングオフについて知りたい」などの相談が多くなっています。 地域の中で、消費者被害に関する知識を深めてもらえるよう、消費生活推進員などが情報発信や出前講座を行っています。 【74ページ】 柱2-3-2 成年後見人等への支援の推進 成年後見人等として活動している親族、専門職、法人後見実施団体、市民後見人等からの相談に応じられるよう、専門機関や関係機関等が連携しながら、きめ細やかな支援を行う体制を整備します。 また、市民後見人、法人後見の実施団体等の育成、支援等を実施し、成年後見制度を必要とする人が、適切な後見人等候補者を選択できるよう支援します。 主な取組 中核機関の設置・ネットワーク構築 ・成年後見人等からの相談を受ける中核機関及び地域連携ネットワークについて、高齢者、障害者、子ども・若者等、様々な分野の会議体等を踏まえた体制整備の検討・実施<市・市社協> ・成年後見人として活動している親族後見人等を支援する体制づくりの検討<市・市社協> 後見人の養成・支援 ・地域で権利擁護を担う市民後見人の養成・活動支援・受任促進<市・市社協> ・法人後見を担う団体への支援<市・市社協> コラム 法人後見支援事業 よこはま法人後見連絡会 法人後見を実施している団体、および準備をすすめている団体間のつながりをつくることを目的とし、平成26年度から市内で活動する法人後見実施団体に参加を呼びかけ、情報交換や共通課題の協議の場を設けています。 成年後見制度利用促進に関するアンケート実施からの様々な取組 平成26年度から27年度に実施した制度利用促進アンケートの結果から、障害のある方の制度利用促進には、①障害当事者及び関係機関の制度への理解が不十分、②障害理解のある後見人等候補者の確保が必要という大きな2つの課題が把握されました。 課題①への取組としては、啓発用パンフレット「障害のある方のご家族、支援者向け ご存じですか成年後見制度」を平成28年度に作成しました。 課題②については、「法人による後見人等受任」をすすめていくことの必要性を確認し、平成29年度より具体的な法人後見の課題や可能性についての検討を障害福祉施設等の運営法人に呼びかけて実施しました。 更に、障害福祉施設へのヒアリングを実施した結果、成年後見制度利用促進のために本人に寄り添い支援する方々への広報、啓発をより進めていく必要性が高いことがわかり、平成30年度は障害福祉施設等の管理者や職員向けに「成年後見制度」の合同研修や出張説明会を実施しています。 【75ページ】 コラム 市民後見人養成・活動支援事業 横浜市では平成24年3月に、『横浜市における市民後見人に関する検討委員会報告書~地域における権利擁護推進にむけた「市民後見よこはまモデル」の提案~』の中で、市民後見人の定義を定めています。 市民後見人とは ①地域に住む身近な存在として、法的に認められた権限をもって被後見人を見守り、支える役割を担う。 ②被後見人の生活課題を解決するにあたっては、地域と連携して取り組み、地域福祉を推進する。 ③成年後見制度や地域福祉に関する幅広い分野の知識や技術、活動上の倫理を身につけるため、横浜市養成課程の修了と所定の登録を必須とする。 市民後見の担い手を養成するため、横浜市市民後見人養成課程を行っています。養成課程では、専門知識や後見人としての倫理などの座学と併せて、市社協の法人後見受任ケースへの同行などの実務実習も行っています。平成30年6月からは、第4期の養成課程を実施しました。 養成課程を修了し、横浜市市民後見人バンクに登録した方(以下、「バンク登録者」といいます。)が市民後見人として活動しています。 第1期 実施年度 平成24~25年 対象区 西区・緑区・青葉区 修了者数 44人 第2期 実施年度 平成26~27年度 対象区 第1期での対象区以外の15区 終了者数 39人 第3期 実施年度 平成28年度 対象区 鶴見区・西区・港南区・金沢区・栄区・泉区・瀬谷区※募集開始時点でバンク登録者の少ない区を対象 終了者数 12人 第4期 実施年度 平成30年度 対象区 市内全区 バンク登録者数 62人 市民後見人受任者数(終了者含む)42人 ※平成29年度末時点 市民後見人受任者およびバンク登録者に対しては、区役所や区社協と連携して横浜生活あんしんセンターは以下のような支援を行っています。 市民後見人受任者への支援 ・日常的な相談対応 ・家庭裁判所への提出書類等確認 ・受任者連絡会の実施 ・受任者定期面談の実施 バンク登録者への支援 ・サポートネットへの参加 ・自主勉強会実施の支援 ・全体研修の実施 ・バンク登録者定期面談の実施 【76ページ】 重点項目<柱2-4> 幅広い住民層が取り組む地域の健康づくり活動の充実 現状と課題 つながりづくりや連携を通した健康づくり ・健康寿命の延伸の視点を取り入れた健康づくり・保健活動については、第3期区計画、地区別計画にも数多く取り入れられています。住民主体の介護予防や健康づくり活動をきっかけとしたつながりづくりが住民の生活により身近な地域で進められ、社会参加の機会の提供や生きがいづくりに発展している取組も多く見られます。 ・健康づくりに関心が低く、取組等に参加していない層等に対する予防に向けた働きかけが課題となっています。 ・うつ病等、こころの病のある方は増加傾向にあり、自分の問題として、こころの健康の保持、増進に努めていくよう啓発することが必要です。 ・健やかな生活を維持していくためには予防の視点が大切です。また、健康づくりの取組は世代を問わず参加しやすいことから、引き続き取組を進めていく必要があります。 柱2-4-1 地域とのつながりづくりや連携を通した健康づくりの推進 目指す姿 ・自分が健康と感じる住民が増加しています。 ・健康寿命の延伸に向けた地域主体の取組が広がっています。 ・健康に関心が低い層等に対する予防に向けた働きかけや地域とのつながりづくりの推進により、より多くの住民が身近な地域での健康づくり活動に取り組んでいます。 ・様々な主体による地域づくり等の取組が進み、より多くの住民が参加することで、社会参加の機会の提供や生きがいづくりに発展するとともに、結果として健康づくりにもつながっています。 重点項目2-4活動指標 元気づくりステーション参加者数 現状値(平成29年度末) 7,668人 目指す方向性↗ 参考:第7期横浜市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の目標値(2020年度(平成32年度))8,000人      【77ページ】 コラム ソーシャル・キャピタルについて ソーシャル・キャピタル(Social Capital)は、「社会関係資本」とも訳されますが、人と人との「つながり」を意味し、「お互いさま」「地域の力」「住民の底力」ともあらわされます。人と人とのつながりが活発になること、つまり、ソーシャル・キャピタルが豊かであれば、住民の地域活動への参加も活発になり、地域の人間関係の豊かさと、地域活動の活性化とが好循環していきます。 また、ソーシャル・キャピタルは健康にも良い影響を与えることが、さまざまな研究から明らかになっています。 例えば、地域で開催しているサロンの参加者の健康維持だけでなく、サロンの運営に関わるボランティア自身の健康にも良い効果が出ています。 趣味やサークル活動を月1回以上楽しんでいる高齢者は、活動していない高齢者に比べて、4年後も元気な生活を続けていた人が1.5倍多かったという結果が出ています。 ボランティアなどの地域活動に月1回以上参加している高齢者は、参加をしていない高齢者と比べて、4年後も元気な生活を続けていた人が3.9倍多かったという結果が出ています。 【78ページ】 柱2-4-1 地域とのつながりづくりや連携を通した健康づくりの推進 全ての年代の住民が年齢や病気の有無に関わらず、それぞれの健康状態に応じて、運動や食事、睡眠等の生活習慣を整え、自分自身の健康づくりに継続して取り組めるように支援します。 また、健康づくりと地域でのつながりづくりや支え合いの活動を関連付けて推進していくことで、より多くの幅広い層の人々に健康づくりの意識の定着を図るとともに、健康づくりの活動を広げていきます。 主な取組 身近な地域での健康づくりの推進 ・老人クラブ(シニアクラブ)や地域の親子の居場所等と連携した健康づくり講座や健康づくりを推進するボランティアの育成を通じた、住民の生活に身近な地域での健康づくり事業の推進<市社協> ・保健活動推進員や食生活等改善推進員等と連携した身近な地域での健康づくり活動の推進<市> 活動団体・活動者支援 ・保健活動推進員や食生活等改善推進員等、健康推進に関わる地域住民が、健康課題の変化や地域の課題に合わせて役割を担えるような情報提供や研修等による支援<市> ・保健活動推進員や食生活等改善推進員等の活動の幅が更に広がるための、地域や様々な分野の活動団体とのつながりづくりの支援<市> ・地域での仲間づくりやつながりづくりを通した健康づくりを定着化するための組織化支援<市・市社協> ・幅広い世代の参加等、活動の特徴を生かして多世代交流事業や見守り事業につなげられるような発展の可能性の検討、活動の支援<市・市社協> 取組の見える化 ・地域の取組や関係局課と連携した取組等、活動の参考となるような具体的な取組事例の紹介<市> 広報・啓発 ・乳幼児から高齢者まで、それぞれのライフステージに合わせた病気の予防的視点を持って、運動や食事、睡眠等の適切な生活習慣を整えていけるよう、働き世代には企業等との連携、子どもと養育者には地域子育て支援拠点や教育機関等との連携を通じた周知<市> ・疾病の早期発見のために、特定健診やがん検診等の定期的な受診の勧奨<市> ・様々な分野の活動者に向けた、人や地域とのつながりと健康づくりの考え方の広報<市> ・企業や社会福祉法人等への働きかけ等、多様な方法による幅広い市民に向けた健康づくりの浸透<市> ・こころの健康について、症状が深刻化する前の段階での見守りや受診行動につながり必要な取組が進むよう、地域での理解促進、セルフケアの推進、自殺対策等についての市民に向けた広報<市> 【79ページ】 コラム 元気づくりステーション 元気づくりステーションとは 地域の中で介護予防・健康づくりに取り組むグループ活動であり、体操筋トレ(ハマトレ等)、ウォーキング、認知症予防、口腔機能向上、栄養改善など様々な活動を行っています。自治会町内会館、団地集場、公園、地域ケアプラザ(地域包括支援センター)など、歩いて行ける身近な場所で、主体的・継続的に活動しています。 元気づくりステーションに人が集うことで、地域の仲間の輪が広がります。区役所保健師等が活動の立ち上げや継続のためのお手伝いをしています。 また、加齢に伴い、たとえ虚弱になっても通い続けることができるよう、リハビリテーション専門職と連携し、プログラムの工夫等の提案も行っています。平成30年3月末時点 280グループが活動しています。 コラム よこはまウォーキングポイントの活用事例 よこはまウォーキングポイント事業は身近なエリアの商店街や地域ケアプラザに歩数を読み込むリーダーが設置され、単に歩くだけではなく、外出の機会や地域におけるつながりづくりなど、コミュニケーションのツールとしても利用されています。 地域で活動する保健活動推進員や食生活等改善推進員等の方々がこの事業を積極的に市民に促し、地域への浸透に貢献してきました。特に、保健活動推進員は「ウォーキングによる健康づくり」をテーマに掲げ、地域で体力測定会や正しい姿勢の歩き方の講座などにも取り組み、歩数計を持つだけではなく、ウォーキングを楽しく、継続し、健康づくりに役立ててもらうよう工夫しています。 「働き・子育て世代(成人期)」の健康づくりでは、運動をはじめとした生活習慣の改善が課題となってい ます。ウォーキングポイント事業は仕事をしている人も取り組めるよう、事業所単位での参加ができる仕組みとなっています。歩数計を持つことをきっかけにコミュニケーションが活発になるなど健康づくりに取り組む動機付けに役立っています。従業員の健康づくりに取り組む企業等が増え、活気がでることで、住んでいる人も街も元気になります。 また、2018年から導入した歩数計アプリなどにより、地域の若い世代の参加を一層促します。 【80ページ】 重点項目<柱2-5> 支援が届く仕組みをつくり、機能させるための環境づくり 現状と課題 施策の推進 ・市計画の推進による、支援が届く仕組みづくりに向けた取組の実施により、各区においても地域の特性に応じた見守り体制・支援体制づくりが行われています。 ・これまでの取組から見えてきた課題等を整理し、個人情報をはじめ各種情報の活用方法や適切な取扱いの周知、参考となる事例やノウハウの提供、事業の見直し検討、個別課題から地域課題として的確な支援につながる仕組みづくり等を進めていく必要があります。 柱2-5-1 必要な支援が届く仕組みづくりに活用できる施策の推進 目指す姿 ・住民と関係機関が協働により事業を実施する経験を積み重ね、高齢者、障害者、子ども・若者等の分野・対象を問わず困りごとを抱えている人を早期に発見する取組が充実しています。 ・個人情報が正しい理解のもと、適正かつ効果的に活用され、必要な見守り・支え合いの活動が活発に実施されています。 重点項目2-5活動指標 地域子育て支援拠点(サテライト含む)整備数 現状値(平成29年度末)21か所 目指す方向性↗ 重点項目2-5活動指標 地域ケアプラザ(特養包括*含む)整備数 現状値(平成29年度末)140か所 目指す方向性↗ * 特養包括:地域包括支援センターを運営している特別養護老人ホームのこと 【81ページ】 コラム 個人情報保護法改正 平成29年5月30日に改正個人情報保護法が施行されました。 これまで、法律の適用対象は、5,000件を越える個人情報を取り扱う事業者に限定されていましたが、法改正により、取り扱う個人情報の数にかかわらず名簿等を取り扱っている事業者には個人情報保護法が適用されます(営利・非営利を問わないため、自治会町内会、地区社協、NPO法人なども対象になります。)。 個人情報は、保護と活用のバランスが大切です。ルールに従って適切に取り扱っていれば特に問題はありませんが、この機会に、個人情報の取扱いについて、ルールを確認することが必要です。 1 個人情報を取得するときは、利用目的を決めて、本人に伝えること。 2 個人情報は、決めた目的以外のことには使わないこと。 3 個人情報を第三者に渡すときは、本人の同意を得ること。 4 「要配慮個人情報」※は、本人の同意を得て取得すること。 ※個人情報のうち、「人種、信条、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実、障害、健康診断・検査の結果、医師等からの指導・診療・調剤が行われたこと、刑事事件・少年の保護事件に関する情報等」のこと。 5 本人からの「個人情報の開示や訂正等の請求」には応じること。 6 取得した個人情報は安全に管理すること。 7 苦情の申し出に対応すること。 横浜市市民局市民情報課のウェブページ http://www.city.yokohama.lg.jp/shimin/shiminjoho/ 【82ページ】 柱2-5-1 必要な支援が届く仕組みづくりに活用できる施策の推進 住民の生活により身近な地域で困りごとを抱えている人に必要な支援が届く体制を構築するための事業や施策等を推進します。 主な取組 仕組みづくり ・事業・施策を通じた見守り・支援が必要な人の早期発見・課題解決のための支援や協働<市> ・地域活動者等が安心して活動できるために、地域を「丸ごと」*支える包括的な相談・支援の推進<市> ・行政等から地域に提供される情報を地域支援に活用していく手法の提示<市社協> ・実践を通じた地域支援や地域における個別支援のノウハウの集約と提示<市社協> * 「丸ごと」については第1章5頁参照 実践事例・データの整理と提供 ・実践事例、根拠法令、国等の検討状況等、実践に生かせる情報が取得できるポータルサイトの検討・実施<市社協> 取組の見える化、情報提供 ・地域の会議や取組を通じた情報交換や課題解決に向けた話し合いや役割の確認が円滑に行える機会づくりについて、地域と支援機関が検討するための先行事例の情報提供<市> 個人情報の取扱い周知 ・地域活動における個人情報の正しい理解、取扱い・活用方法の周知<市・市社協> コラム 個人情報の取扱いについて 法改正を受け、横浜市では、会員名簿の作成や地域での要援護者の把握を例に、個人情報保護法に沿った取扱いについて説明する「自治会町内会向け個人情報取扱い手引」を作成しました。この手引は、地域で活動する皆様にご活用いただいています。 個人情報の保護は必要ですが、過度な対応は地域のつながりを弱くし、地域の活動や災害時の助け合いなどに支障をきたします。個人情報は、適正な管理を行うとともに、いざという時のため、有効に活用することが必要です。 【83ページ】 第2章 推進の柱3 幅広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 推進の柱3 幅広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 柱3-1 幅広い市民参加の促進 3-1-1 地域でつながる機会の拡大 3-1-2 社会参加等につながる多様な選択肢の検討・実施 柱3-2 多様な主体の連携・協働による地域づくり 3-2-1 社会福祉法人の地域貢献の推進 3-2-2 企業、NPO法人、学校等との連携強化 柱3-3 幅広い市民参加、多様な主体の連携・協働を促進するための環境づくり 3-3-1 新たな活動の立ち上げや継続するための支援策の提供 【84ページ】 推進の柱3 幅広い市民参加の促進、多様な主体の連携・協働の推進 重点項目 柱3-1 幅広い市民参加の促進 現状と課題 地域でのつながりづくり ・2025年には、「団塊の世代」が75歳以上になり、併せて少子化及び世帯の小規模化が進行し、支援が必要な高齢者は増えるとともに、地域福祉保健活動の担い手の割合が少なくなります。 ・地域にある複合的な課題や、少子高齢化・人口減少の現状を踏まえると、引き続き地域福祉保健活動の裾野を広げる取組が必要です。 ・日々の暮らしの中で、多様な世代や様々な状況にある人が地域でつながり、地域の活動に触れることを通じて、その大切さをより自然に意識できるような仕掛けや働きかけが必要です。 社会参加等につながる多様な選択肢 ・これまでの市計画の推進により、保育所や学校、地域子育て支援拠点等と連携した、地域と子ども・子育て世代のつながりづくりや、健康づくりを通じた地域活動への参加促進、元気なシニアを対象とする取組等、多様な世代が地域でつながり、地域の活動に関心を持てるような取組が増えています。また、子どもを対象とした取組では、その事業等に参加した人たちが再び担い手として帰ってくるといったような好循環が見られる事例もあります。 ・取組が一度きりであったり、参加者が固定化している等の課題も見られるため、これまで地域福祉保健活動に関わってこなかった人でも継続して参加しやすい環境をつくることが必要です。例えば高齢者の中でも、人によって参加の意欲やモチベーションの在り方も違うことから、多様な価値観に合わせた仕掛け、選択肢が必要となります。 柱3-1-1 地域でつながる機会の拡大 柱3-1-2 社会参加等につながる多様な選択肢の検討・実施 目指す姿 住民が地域の活動に関わる機会が増えており、子どもの頃から地域の中でつながりながら育つ視点を大切にした取組が増えています。 一人ひとりの価値観に合わせて、社会参加の機会や地域福祉保健活動へ参加するための選択肢が検討・提供されています。 重点項目3-1活動指標 住民主体による地域の活動把握数のうち交流・居場所の数 現状値(平成29年度末)6,723件 目指す方向性↗ 参考:住民主体による地域の活動把握数:7,504件(平成29年度末) 【85ページ】 コラム 学校・地域コーディネーターの取組 教育委員会では、地域が学校を支援する仕組みづくりを進めることを目的に、平成19年度より、地域と学校をつなぐ役割を担う「学校・地域コーディネーター」の養成に取り組んできました。 平成29年3月には、地域による学校支援にとどまらず、地域と学校が連携・協働して、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支え、地域を創生する「地域学校協働活動」の円滑な推進を目指し、社会教育法の一部が改正されました。 横浜市においても、横浜の教育が目指す人づくり「自ら学び 社会とつながり ともに未来を創る人」を実現するため、「地域学校協働活動」を推進していきます。 Q 「地域学校協働活動」とは? A 地域の方々、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体等の幅広い地域住民等の参画を得て、 地域全体で子どもたちの学びや成長を支えるとともに、「学校を核とした地域づくり」を目指して、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動です。 Q 具体的な「地域学校協働活動」の内容は? A 学習活動支援、学びによるまちづくり、地域課題解決型学習、学校周辺環境整備等です。 平成29年度末現在、市内の市立学校509校のうち、236校に「学校・地域コーディネーター」が配置され、それぞれの地域や学校の実情に応じた活動を進めています。 改正された社会教育法においては、「教育委員会は、地域学校協働活動の円滑な実施を図るため、地域学校協働活動推進員を委嘱することができる。」と書かれています。横浜市では、既に学校・地域コーディネーターが、「地域学校協働活動推進員」の役割を果たしていますので、平成30年度から、現在の学校・地域コーディネーターの方を、「地域学校協働活動推進員」として教育委員会から委嘱し、「地域学校協働活動」の中心的な役割を果たしています。 【86ページ】 柱3-1-1 地域でつながる機会の拡大 これまでに進めてきた取組を生かしながら、住民同士が多様性を理解し、立場や背景を越えて子どもの頃から切れ目なく地域の中でつながることができるような場や機会を広げていきます。 主な取組 子どもの頃から地域と関わる取組の推進 ・子ども・子育て世代が地域とつながるための、地域子育て支援拠点や保育所、幼稚園等と地域が連携した取組の推進<市・市社協> ・地域による学校への支援という一方向の関係にとどまらず、地域と学校が一体となって連携・協働するという双方向の関係に発展させ、学校・地域コーディネーター等のコーディネート機能を強化した小学生・中学生・高校生の社会参加の促進<市> ・学校運営協議会等の仕組みを活用し、地域と小学校・中学校が目標や課題を共有し協働することで、より良い地域社会を実現するための支援策の検討<市> ・子ども食堂や学習支援、地域のフリースペース等、子どもの居場所の実態把握と拡充支援<市・市社協> 様々な世代における地域とのつながりの推進 ・就学前も含め、子どもの頃から地域とつながる機会を増やすだけでなく、親世代や親子、就労世代や退職後の方等が一緒に参加し、継続して地域とつながりを持てるための支援<市> ・地域住民が世代や立場を越えて地域でつながれる機会や、誰もが集える地域の居場所等の情報を集約し、利用者が担い手として地域に関わるようになった事例等、その意義や効果を含めた情報の発信<市社協> ・住民相互の交流、見守り、気づき、助け合いにつながる身近な地域における居場所づくりの推進<市社協> 広報・啓発 ・一人ひとりが活躍する場の提供に向けた支援策の実施<市> ・様々な人が地域活動に興味を持ち、参加してもらえるような支援機関の広報等による啓発<市> ・学校・地域コーディネーターが円滑に地域と関わりを持てるよう、関係区局による学校・地域コーディネーターの取組についての理解促進及び啓発<市> 【87ページ】 コラム こども食堂がつむぐ 「地域のきずな」(戸塚区柏尾地区) 他地区で父子家庭の小学生の子どもが夜遅くまでご飯も食べられずひとりぼっちで過ごしているという話を聞いた民生委員が、自分たちの暮らす地区にも困っている親子がいるのではないかと話し合い始めました。 「あったかく」て「おうちの雰囲気」を感じてもらいながら安心して過ごせる場所を提供しようと、地区の民生委員、主任児童委員、ボランティアたちが検討委員会を立ち上げ、町内会、区社協、区役所の関係課、地区連合自治会との話し合いを何度も重ねながら、「かしおのこども食堂」が誕生しました。 居場所を必要としている子どもたちが身近に行ける場所、そして、行くことで地域の中に「つながり」がつくれる場所、そんな強い思いから住民の方が自宅の一部を提供してくださり、今では安心感のある家庭的な雰囲気で過ごせる居場所になっています。 居場所には、毎回100名以上の方が集まります。乳幼児を連れた親子・小中高生から一人暮らしの高齢者まで多くの方が一緒に食卓を囲むことで、お互いに緩やかに見守り助け合う状況が自然と生まれました。 また、気になる中学生の存在をきっかけに「出張!みんなの食堂」として新たな展開も始まりました。 そして、自治会長や役員の方を中心とした「かしおのこども食堂支援プロジェクト」が立ち上がり、一軒一軒訪問しながら居場所の説明と活動資金を集めるための募金活動などを行っています。 コラム みんなのまつり・みんなの食堂 ~第4地区社会福祉協議会~(西区第4地区) 15の自治会町内会で構成される西区第4地区では、地区社協主催の行事「みんなのまつり」を年1回開催しています。地区内小学校の体育館を会場に、各自治会町内会や活動団体の取組を紹介する「パネルひろば」、手作り手芸品・お菓子などの販売、地域作業所のブース、子育てひろば・読み聞かせなど盛りだくさんな内容です。親子が遊べるスペースを増やしたことで、若い家族の参加も目立つようになり、様々な世代の地域住民の交流が図られています。 また、学校の長期休み(春・夏・冬休み)には、自治会町内会や活動団体が各町内会館や小学校の調理室などを会場に持ち回りで「みんなの食堂」を実施。キャッチフレーズは、「みんなで食べればおいしいよ!子どもも大人もみんな集まれ!」。子どもの頃から地域の大人・高齢者とつながる機会をもつことで、例えば 「認知症の高齢者への支援」という一般論ではなく「『みんな の食堂』で一緒にご飯を食べ、面倒をみてくれた近所の高齢者に何らかの支えが必要になったら、私は何ができるだろう」と自然に考えられる地域を目指しています。 このように、第4地区では様々な取組に「みんなの~」と名付け、世代を問わず「みんな」が参加・交流できるような場や機会づくりを進めています。 【88ページ】 <柱3-1-2> 社会参加等につながる多様な選択肢の検討・実施 住民の社会参加や地域活動への参加等を促進するために、区役所・区社協・地域ケアプラザが、様々な視点で参加メニューを工夫し、住民が多様な価値観に合わせた選択肢を検討・提案できるよう支援します。 主な取組 多様な選択肢や手法の提案 ・ボランティア活動を通じた社会参加プログラムの検討と支援メニューとしての提案<市社協> ・趣味やスポーツ等の実施内容だけではなく、曜日や時間帯、所要時間、対象の活動性等、様々な視点での参加メニューの情報の集約・提供<市社協> ・関係機関と連携し、既存の選択肢に加えてアプローチや参加方法等、多様な価値観に合わせた様々な選択肢の検討・提案<市> ・多様な選択肢から社会参加等につながり、地域活動の担い手へ至るプロセスや支援手法についての情報の集約と支援メニューとしての提案<市社協> ・学校や社会福祉施設等の地域に根差した施設が、より地域との関係を深め、地域に関心を持ってもらうための支援<市> 広報・啓発 ・多様な情報を発信し、様々な人が目にする機会を設けるための手法(SNS、ホームページ等)の検討・実施<市> ・関係局課が連携し、幅広い市民への情報提供に加え、会社をリタイヤする前等の特定の年代に向けた社会参加への更なる啓発<市> ・日頃は支えられている人も他者を支える人になる等、あらゆる人に役割があることを伝える事例の集約と発信 <市社協> 【89ページ】 コラム 多様な選択肢の検討・実施についての取組(リビング・ラボ) 港南区社協では、平成17年から実施している「男のセカンドライフ大学校」等の取組を通して、主に定年後の男性の地域参加を進めてきました。仕事などで培ってきた知識や技術をぜひ地域づくりに生かしてほしいと、様々なプログラムを提案し参加のきっかけづくりを行ってきましたが、参加者数の伸び悩みなどもあり、新たな働きかけが必要ではないかと感じていました。 その中で、検討を始めたのが㈱ビデオリサーチ社・桜美林大学老年学総合研究所と連携した「リビング・ラボ」の手法です。リビング・ラボとは、地域の課題解決につながる企業サービスの改善や商品開発などに向けて、住民や企業、関係機関等がともに知恵と力を出し合う取組です。港南区社協は、誰もが暮らしやすい地域づくりに参画するための多様な入口(選択肢)のひとつとして、リビング・ラボに期待し試行を重ねています。 ・男性が行きたくなる商業施設とは? 企業や関係機関、参加者が一同に会し「地域男性の孤立を防ぐ居場所となり得る可能性はあるか」「あるとよいサービスは何か」など、話し合いを行いました。参加した男性からは「自分の感じている課題が率直に言えました。これからも住み続ける港南台がよくなるために、今後も積極的にこの取組に参加したい」という声も聞かれました。 コラム 市民協働・共創スペース  新市庁舎における市民協働・共創スペースは、NPO・市民活動団体、大学・研究機関、企業などの多様な主体と行政が手を携えて、横浜市全域にわたる地域活動の解決や魅力ある地域づくりのための新たな拠点として、多様な主体が相互に交流できるような対話と創造の「場」を提供し、ゆるやかな基盤づくりを目指します。 市民協働・共創スペースの設置を契機に、区役所と局、局間の連携を更に強め、横浜市の強みである大都市としての一体性を生かした地域支援を進めていきます。 【90ページ】 重点項目<柱3-2> 多様な主体の連携・協働による地域づくり 現状と課題 社会福祉法人の地域貢献の推進 ・社会福祉法人は、これまで施設運営や事業・サービス提供を通じて住民の暮らしを支えてきました。また、地域に根ざした法人の中には、住民とともに地域活動に取り組んできたところも多くあります。 ・社会福祉法の改正等により、社会福祉法人は公益性・非営利性を備えた法人として、地域貢献への期待が高まっています。各法人・施設が地域に開かれ、施設利用者を含めて地域とつながるとともに、運営施設や実施事業の特徴を生かしながら、地域ごとのニーズに合わせた取組を進めていくことが重要です。 企業、NPO法人、学校等との連携強化 ・第1期市計画以降、地域福祉保健に関わる施設や企業等との連携・協働による取組が推進されており、住民・住民組織との交流やイベント、地域行事への参加等は多くの区で取り組まれています。 ・施設や企業との連携による見守りネットワークの構築や食支援(フードバンク等の取組)等が複数の区で取り組まれるようになってきており、課題への対応の幅が広がってきています。 ・施設や企業との連携による地域活動が広がりを見せる一方で、継続性・一貫性が課題となっている地域もあります。 ・今後も複雑・多様化する地域の課題を早期に発見して支援につなげ、住民の生活を地域で支えていくためには、地域の多様な主体がそれぞれの役割や特徴を最大限に発揮しながら、連携・協働した取組を一層進めていくことが必要です。 柱3-2-1 社会福祉法人の地域貢献の推進 柱3-2-2 企業、NPO法人、学校等との連携強化 目指す姿 ・住民・住民組織と地域にある社会福祉法人等の施設、企業、NPO法人、学校等、地域の多様な主体が、それぞれの強みや経験を生かしながら、地域の課題に対して連携・協働する取組が広がっています。 ・地域の多様な主体と連携を図りながら、困りごとを抱えている人の就労体験ができる場をはじめ、全ての人の社会参加につながる場が地域の中で確保されています。 重点項目3-2活動指標 地域貢献活動を実施している社会福祉法人数 現状値(平成29年度末)76法人 目指す方向性↗ 【91ページ】 コラム 「てのひら食堂」 ~社会福祉法人横浜愛隣会「更生施設 民衆館」(南区)~ 「民衆館」は、様々な理由によって単身で生活することが難しくなっている方をサポートし、自立に向けた支援を行う入所型施設です。戦前から被災者や失業者・生活困窮者などの支援のため運営していた簡易宿泊所を前身とし、昭和58年に社会福祉法人としての認可を受け、以降、生活保護法の更生施設として更なる支援を続ける歴史ある施設です。 民衆館では生活困窮者支援は行っているものの、子どもたちを支援する取組に携わったことはありませんでした。しかし「子どもの貧困」への取組として子ども食堂を開設できないかと南区社協に相談し、地域のボランティアグループ、地域ケアプラザ、町内会長、母子生活支援施設なども交えた検討会を実施しました。検討の中ではその必要性を確認しながらも、「貧困層を想定すると、周囲の目が気になり参加につながりにくいのでは」と懸念する意見もあり、誰でも参加できる「居場所」を目的とした「てのひら食堂」を月1回開催することになりました。広く間口をあけ、参加した子どもたちの中から支援が必要な世帯の発見を目指すことにしたのです。 民衆館が提供できるのは施設(厨房・講堂)、調理スタッフ、資金などですが、一方で子どもの対応に慣れたスタッフや地域食堂運営の経験は不足しています。そこでノウハウのある地域ケアプラザや地域のボランティアグループ、母子生活支援施設と共催という形をとりました。更に、毎月第3土曜日にそれぞれ活動をしてい るグループがあったことから、「てのひら食堂」は第1土曜日に開催することに。今では地域ケアプラザの働きかけもあり、団体同士のつながりによって「地域のどこかで毎週土曜日に同じ時刻、金額で食堂が開かれている」という状況を提供して、更に地域に根付くよう工夫をしています。 当初の予想より、多くの参加を得て取組の手ごたえを感じています。 また、取組を通して生みだされたネッワークを生かし、数年後には学習支援など新たな展開につながることも期待されています。 コラム 生活困窮者自立支援制度における就労訓練事業(いわゆる中間的就労) 働いたことがなくて不安、働くことに自信を失ってしまった、仕事が長続きしたことがない…、このような状態にあると就職活動を開始することやすぐに働くことが難しいこともあります。 就労訓練事業は、企業やNPO法人、社会福祉法人等が職場体験や短時間就労の機会を提供し、本人の「働きたい」という意欲を後押しする事業です。福祉的就労と一般就労の間に位置することから中間的就労と呼ばれています。 雇用契約を結ばず、働くために必要なスキルの習得や職場環境への適応を支援する「非雇用型」と雇用契約を締結し、勤務時間や仕事内容等、本人の状況に配慮した就労の場を提供する「雇用型」の2つの形態があります。 更に、就労訓練事業は、働く意欲の向上だけではなく、社会とのつながりを感じることができる機会ともなるため、地域の多様な主体と連携、協働しながら、協力いただける事業所を増やしていきます。 【92ページ】 <柱3-2-1> 社会福祉法人の地域貢献の推進 社会福祉法の改正により、改めて地域福祉の担い手として期待される社会福祉法人・施設が、その特徴や専門性を発揮して地域貢献活動に取り組めるよう支援します。 主な取組 周知・啓発 ・社会福祉法人が地域の活動団体と連携・協働するメリットの周知<市> ・地域ニーズを把握するためのデータの提供や、市内外の取組事例の紹介等を通じた取組支援<市> ・市社協の会員施設の種別ごとの部会や研修等、様々な機会を通じた地域貢献活動の意義や必要性の周知<市社協> 取組の見える化 ・市内の社会福祉法人・施設が取り組む地域貢献活動の事例発表会の開催及び事例集の作成による取組の促進<市社協> 検討の場 ・地域協議会の設置、開催を通じて、社会福祉法人が地域と共に地域の福祉ニーズを検討する機会の促進<市> 実態把握・コーディネート ・社会福祉法人・施設による地域貢献活動事例の調査<市社協> ・社会福祉法人・施設の地域貢献活動において、市域共通で取り組む課題の整理と社会福祉法人・施設への提案<市社協> ・区社協と連携した、地域と社会福祉法人・施設とのコーディネート<市社協> ・社会福祉法人・施設と地域の連携による地域課題を解決する取組の拡充<市社協> コラム 大規模災害時における法人・施設の相互支援体制の整備 横浜市では大規模な災害が発生した場合、福祉避難所(※)を開設し要援護者の受け入れを進めることになります。この避難場所が円滑に運営され、必要な支援が必要な人に届くようにするためには、横浜市や各法人・施設の相互支援体制づくりを進める必要があります。 ※福祉避難所=地域防災拠点での避難生活が難しいと判断された方を受け入れる避難場所。高齢者・障害者・児童福祉施設、地域ケアプラザなどのうち横浜市と協定を締結している施設で、市内に491か所がある。(平成30年4月末現在) この体制づくりのために、横浜市社協高齢福祉部会と横浜市で検討・協議を重ね、以下の取組について検討を行っています。 相互支援体制 ・福祉避難所となる施設の被災状況等を共有するシステムづくり ・必要な物資等の情報共有と提供 【93ページ】 コラム 社会福祉法人が『ALLとつか』で取り組む地域づくり 戸塚区では、区内の社会福祉法人や施設が、高齢、障害、子ども等の分野を越えて社会福祉法人同士いつでも連携できるネットワーク体制を構築し、地域とともに、個別課題から地域全体の課題を相互に共有し課題解決や体制づくりについて柔軟に考える場として、「社会福祉法人と地域つながる連絡会」を開催しています。 この連絡会を基盤に、既存の制度やサービスでは対応できない狭間の問題に対し、民間組織である社会福祉法人の強みと専門性を生かした様々な取組や支援を行っています。 「集いの場」の設置 施設のフリースペース等を活用し、地域住民とともに多世代交流のサロンや地域食堂を開設しています。施設職員も同席しているため、参加者は、地域とのつながり・交流の場としてだけでなく、施設職員から、生活支援や介護支援に関する専門的なアドバイスをもらえる課題解決の場にもなっています。 複数の施設がチームになって行う移動支援 買物に不便を感じている人や、参加したくても身体的な理由から地域のサロンや昼食会へ参加できなかった高齢者のために、複数の法人・施設が協力し、施設の所有する車両を活用した送迎・移動支援を行っています。一法人や施設が単独で行うと負担が大きいことも、ネットワークを生かして複数の法人や施設がチームとして連携した支援を行うことで、小規模法人でも地域貢献の可能性を広げることができます。また、相談窓口となった施設で対応が難しい場合は、チーム内で調整することができ、円滑に支援を行うことができます。 「ひとりの困りごとも見逃さない!」個別ケース・ニーズへの対応(一例) ・ごみ問題を抱えている人への支援 ごみの撤去を地域と社会福祉法人が協力して行うだけでなく、本人の置かれた状況に専門職として向き合い、本人と信頼関係を築きながら、ごみ屋敷になってしまった背景に潜む課題を一つひとつ解決し、自立に向けた支援を行っています。 ・生活困窮者への自立支援 相談窓口として地域に定着しつつある社会福祉法人・施設が、区社協と連携し、相談を受ける中で必要な人へ生活必需品(食料含む)を緊急・迅速・的確に提供する体制を作っています。更に、「子ども」を通して地域とつながっている保育所には情報が集まりやすいため、その利点を生かし、区社協への寄付物品の活用と結びつけて、必要度の高い世帯へ保育所を通じて物品を配分する仕組みを試みています。そして、物品の提供にとどまることなく、専門職として本人(世帯)の自立に向けた支援に継続して取り組んでいます。 ・未来を担う子どもへの支援 24時間365日職員が常駐している特別養護老人ホームでは、一人ひとりの子どもにあった時間を過ごすための居場所の提供や、経済的困窮に陥っている子ども・その家族へ入浴設備や食事の提供をしています。 【94ページ】 <柱3-2-2> 企業、NPO法人、学校等との連携強化 複雑化・多様化する地域の課題に対応するために、企業、NPO法人、学校等、地域の多様な主体が住民・住民組織と連携・協働し、それぞれの強みを最大限に発揮して取り組めるよう支援します。 情報発信・共有 ・市内外の企業による取組事例や様々なデータの提供等により、多様な主体と地域がつながるための取組支援<市> ・地域と多様な主体が既に協働している先進事例を各地域に周知する場や手法の検討・実施<市> ・地域との協働を推進するため、高齢者、障害者、子ども・若者等の各分野で設置されている既存のコーディネーターの業務や役割の周知<市> 学校と地域の連携・協働 ・学校運営協議会と地域学校協働本部を両輪とした学校と地域の連携・協働の推進<市> 連携・協働に向けたコーディネート支援 ・一般就労と福祉的就労の間に位置する中間的就労や社会参加の場、食支援、見守り活動等、企業の強みを生かした社会貢献のコーディネート支援<市・市社協> ・企業・NPO法人・学校等の福祉に限らない多様な取組をきっかけとして、最終的に地域福祉保健活動や地域づくりにつながる仕掛けづくり・コーディネートの促進<市> ・企業の社会貢献事例の集約と発信<市社協> ・区域を越え幅広く活動する団体との連携・協働に必要な調整<市社協> ・NPO法人と地域、関係機関が連携した、生活課題、地域課題への対応事例の集約と発信<市社協> ・学校と地域、関係機関が連携した、不登校や引きこもり等への対応に向けた検討・実施<市・市社協> ・これまで福祉との関わりが少なかった身近な施設による子ども食堂の実施や、交通企業との連携による移動支援等、新たな主体、手法による連携事例の集約と発信<市社協> モデル事業等の実施 ・社会的な課題や地域課題の解決に向けた住民と企業が連携した取組等、多様な主体の連携に関する新たな事業の試行実施<市社協> ・市域で取り組む課題の明確化とその対応に向けた市域ネットワークの構築<市社協> 【95ページ】 コラム 福祉有償運送の取組 福祉有償運送は、NPO法人等が他人の介助によらず移動することが困難であると認められ、かつ、単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な身体障害者等の会員に対して、乗車定員11人未満の自動車を使用して、原則としてドア・ツー・ドアの個別輸送を行うものです。 ※平成28年1月、福祉有償運送に係る事務・権限が国から横浜市に移譲されました。 利用対象者 次のア~エに当てはまる方で、かつ、単独でタクシー等の公共交通機関を利用することが困難な方で、あらかじめ利用者として登録されている方及びその付き添い人です。 ア 身体障害者の方  イ 要介護認定を受けている方 ウ 要支援認定を受けている方  エ その他の障害を有する方 実施団体 特定非営利活動(NPO)法人、一般社団法人、一般財団法人、認可地縁団体、農業協同組合、消費生活協同組合、医療法人、社会福祉法人、商工会議所、商工会、営利を目的としない法人格を有しない社団(自治会・町内会等)のいずれかです。 コラム フードドライブ等食支援の取組(保土ケ谷区) 保土ケ谷区社協では、複雑化・多様化する相談が増える中で、生活福祉資金貸付などをはじめとする事業による直接的な支援に限界を感じると同時に、「食に困っている」という既存のサービスや制度だけでは対応ができないニーズがあることを把握しました。 先駆的に食支援を実施している団体の話を聞き、区社協での食支援を考え、まずは団体と連携することで相談者へ食糧を渡すことができるようになりました。また、支援ができることで相談も増えたことから、新たな食支援の仕組みの必要性を地域に発信して理解者や協力者を拡大し、地区社協による「フードドライブ」の取組につなげました。 更に、区役所が企業に実施しているアンケートで「余った食品の提供可」と回答した企業や、社会貢献活動に力を入れている施設に区社協が協力を呼びかけました。その結果、企業からは余剰食品の寄付をいだいたり、施設からは災害備蓄品(賞味期限前の品)を提供いただく仕組みが整い、食糧を確保しています。 今日の食べ物にも困っている世帯からの相談に対し、家庭や企業などから食品を持ち寄ってもらい、支援を必要としている人たちに届ける仕組みに発展しています。 【96ページ】 重点項目<柱3-3> 幅広い市民参加、多様な主体の連携・協働を促進するための環境づくり 活動の活性化のための環境づくり ・地域では、多くの住民が地域福祉保健活動に取り組んでいますが、担い手の負担増や財源の問題、取組内容が停滞している等により、継続が難しくなっている活動も少なくありません。幅広い住民の参加を促進し、組織的な活動として継続・発展させていくことを通じて、地域福祉保健活動の裾野を広げていく必要があります。 ・地域の多様な主体による地域活動や地域づくりにおいて、先駆的に取り組まれている事例を見ると、地域の課題やニーズに基づくものであること、活動の中でそれぞれの持つ特徴が生かされていることが重要な要素となっています。必要としている活動団体等に対して、こういった先駆的事例や助成金の確保のノウハウ等の支援策を提供していく必要があります。 柱3-3-1 新たな活動の立ち上げや継続するための支援策の提供 目指す姿 ・助成金、資金確保の手法、活動を実施していく上でのノウハウ等、活動の立ち上げ・継続に必要な支援策の整備が進み、地域福祉保健活動の裾野を広げていくための支援策に活用されています。 ・地域の課題やニーズに合わせて多様な主体間をつなぐ機会や場が創出されています。 重点項目3-3活動指標 ふれあい助成金の助成団体数 現状値(平成29年度末) 2,547団体  目指す方向性 ↗ 重点項目3-3活動指標 ヨコハマまち普請事業提案件数 現状値(平成29年度末) 12件  目指す方向性 ↗   【97ページ】 コラム 寄付文化の醸成 よこはまに暮らす市民として、よこはまで事業を営む企業や活動する団体として、誰もが安心して自分らしく暮らせる”まち”をみんなつくっていくことにそれぞれの立場でできること、そのひとつが寄付です。 横浜市社協では市民や活動団体・企業などに寄付の使途や成果をわかりやすく伝え、寄付が支え合いの活動のひとつであることを市民に広め寄付文化の醸成に取り組んでいます。 寄付先についての紹介 ・善意銀行 個人・団体からの善意の寄付(金銭と物品)をお預かりし、市内の当事者団体・社会福祉施設、地域福祉活動団体などに配分することにより、皆様の善意を広げていく事業です。寄付金は善意銀行配分委員会での審査を経て配分され、地域の福祉活動の推進に役立てられています。 ・よこはまあいあい基金 自分たちの地域で支え合うために作られた市民活動を応援するために1992年に創設されました。 基金から生み出される果実(利子)と寄付でボランティア活動等の団体に助成を行っています。 ・障害者年記念基金 1981年の国際障害者年を記念し、障害者の自立と社会参加の実現を目指して、「障害のあるなしに関係なく、誰もが自分らしく暮らしていきたい!」という願いが込められ設立されました。 ・福祉基金 1982年に創設され、横浜市社協が行う自主事業に活用されています。 寄付の相談→寄付の受付→寄付者の意向に添った団体・施設へ周知→団体・施設等配分 【98ページ】 <柱3-3-1> 新たな活動の立ち上げや継続するための支援策の提供 新たな活動の立ち上げや継続的に活動を実施していくための助成金、資金確保の手法、ノウハウ等の支援策について、これまでの活用事例等を踏まえ、必要としている活動団体等に提案・提供します。 支援策の提供 ・団体が自立し活動していくために必要な資金確保の手法、事例情報、ノウハウ等、区役所との協働による支援策の提供<市> ・活動団体等が様々な活動に取り組めるよう、新たな手法(ソーシャルインパクトボンド(SIB)*)等、財源獲得を含む課題解決手法の検討・情報提供・提案<市・市社協> ・寄付金の生かし方や目的別の寄付方法の周知等を通じた寄付意識の醸成<市社協> ・活動団体等が長期にわたって活動を継続するために、他団体や社会貢献活動を行っている企業との連携・協働による課題解決策の提案<市> ・ニーズに合わせた助成金制度の見直し(再掲)<市社協> ・活動の組織化における支援策の活用事例の集約と情報提供<市社協> ・市社協の会員組織としてのネットワークを活用した地域活動、地域づくりを協働する事例の集約とその分析を通じたノウハウの集約<市社協> ・区社協、地域ケアプラザ向けの実践事例の共有、ノウハウの活用による支援<市社協> ・区域を越え幅広く活動する団体への課題や事業の提案等、連携・協働に必要な調整<市社協> * ソーシャルインパクトボンド(SIB):行政、事業者、民間資金提供者等多様な関係者が連携して社会課題解決に取り組む新しい手法。 特にサービスを提供しただけではなく、社会課題が解決されたかどうかを第三者が評価し、その評価に連動して支払いが行われる。 広報 ・新たな取組を始める際の活動に関する支援制度について、関係局課の連携による周知、啓発の実施<市> 情報提供 ・まちづくり等、関連する他分野と連携した地域づくりの推進、支援制度の周知(再掲)<市> 【99ページ】 コラム ヨコハマまち普請(ぶしん)事業(もりのお茶の間:金沢区六浦東地区) 金沢区六浦東地区では、地域ぐるみで子どもたちを見守り育てていくことを目的に、地域の大人たちが持つ特技を登録する「人材マップ」を活用したまちづくりに、20年以上も前から取り組んでいました。 後継者育成を考えていた中心メンバーが金沢区の「地域づくり大学校」を受講したところ、活動拠点の必要性を感じるようになりました。その思いを、高齢者や子育て世代の孤立、防災などの課題を感じていた地区社協や町内会の会長に伝え、地域プラットフォームの六浦東地区推進連絡会で提案したところ、地域福祉保健計画に盛り込まれ、実行委員会が立ち上がることになりました。 実行委員会をサポートしている地域支援チームの区役所職員から、まちづくりの支援事業で、施設整備費の助成を受けられる「ヨコハマ市民まち普請事業」を紹介され、応募しました。 助成対象を選考する公開コンテストでは、「人材マップ」の活動を通して見えてきた地域の課題や活動拠点の必要性、3,000世帯に行ったアンケート結果を踏まえた「ランチ」「情報発信」「大人の文化活動」などの活動計画や地域の様々な主体との連携をアピールし、助成対象に選ばれました。 施設の整備においては、延べ600人以上の地域住民や支援者が参加し、内装工事やペンキ塗りなどを住民自ら行いました。 オープン後は、ランチのほか、支え合い事業やスクール事業などを行い、子どもから高齢者までが集う拠点となっています。 コラム 横浜市介護予防・生活支援サービス補助事業(サービスB) 要支援者等の介護予防や生活支援を充実・強化するため、地域でボランティアによる介護予防や生活支援の活動(居場所、生活援助、配食、見守り)をしている団体に対し、活動に係る費用を補助しています。 詳しくは、地域ケアプラザ(地域包括支援センター)や区社協、区役所(高齢・障害支援課)にご相談ください。 居場所:体操教室や交流サロン(介護予防に資するプログラムを実施) 生活支援:買物代行、調理、ごみ出し等の生活支援 配食:栄養バランスのとれた食事の提供 見守り:定期的な訪問による見守り 【100ページ】 【101ページ】 第3章 計画の推進に当たって 【102ページ】 1 計画の推進体制 (1) 横浜市地域福祉保健計画策定・推進委員会【附属機関*】 市民委員、各分野の活動関係者及び学識経験者等で構成し、地域福祉保健計画の策定・推進・評価に関する議論を行い決定します。 (2) 横浜市地域福祉保健計画・横浜市地域福祉活動計画検討会【市社協との連絡調整会議】 横浜市と市社会福祉協議会が共同で事務局を運営し、地域福祉保健計画の策定・推進・評価に関する意見交換を行い検討を進めます。 また、必要に応じテーマ別検討会を設置し、重点的に検討を進めます。 (3) 関係局区検討プロジェクト 市の関係局区が連携して、地域福祉保健の推進に向けた取組を総合的・横断的に進めるための検討、連絡調整を行います。 (4) 横浜市健康福祉局と横浜市社会福祉協議会の基本的な役割分担 区計画推進支援 健康福祉局 ・地域福祉保健活動に関する市としての方向性の提示 ・計画策定・推進業務の枠組みの整理 ・計画策定に必要な予算や情報の支援 ・計画実現に向けた区の支援策の検討、実施 ・区、地域ケアプラザの人材育成 ・計画推進のための区局間の連絡調整 ・他都市の先進事例等の情報収集 ・地域の情報の分析と活用 市社協 ・地域福祉保健活動に関する市としての方向性の提示 ・計画策定・推進業務の枠組みの整理  ・計画策定、推進に必要な予算の区社協への支援 ・区社協の人材育成 ・地域ケアプラザの職種や部門連携を意識した人材育成 ・他都市における市社協の先進事例等の情報収集 ・区社協・地区社協・福祉保健団体等が把握している情報の集約 市域における新たな仕組みや制度の検討 市域の課題の把握・分析 ・市域の取組の検討・実施 ・モデル事業等の開発 ・健康福祉局と協働した取組 ・市民活動支援、各種関係団体のネットワーク化 ・市域で求められる人材育成 * 附属機関:地方自治法第138 条の4第3項又は地方公営企業法第14条の規定に基づき、法律又は条例の定めるところにより設置する審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関。 【103ページ】 2 計画の評価方法 (1) 各年度の取組の振り返り 毎年度、横浜市地域福祉保健計画策定・推進委員会にて市と各区の取組状況を報告し、委員会資料をホームページで公表します。 (2) 計画の評価時期 第4期横浜市地域福祉保健計画は、計画推進の中間年度である2021(平成33)年度に中間評価を行います。その後、計画推進の最終年度の2023(平成35)年度には計画期間全体を通しての推進状況について最終評価を行い、結果を公表します。 なお、評価の結果については、中間評価を市計画期間後半の取組の推進方策に反映させ、最終評価を第5期市計画の策定に生かしていくものとします。 (3) 評価内容・手順 市計画の評価は、各重点項目に設定する「評価指標」に基づく以下の取組等の推進状況について、「目指す姿」にどれだけ近づいたかという視点で、定量(量)及び定性(質)の両面から総合的に判断し、評価を行います。 ・地域課題解決に向けた市・区・地域の取組 ・地域づくりを進めるための市域の施策や事業 ・住民が主体的に進めている活動 ・住民と企業・施設・企業・NPO法人・学校等、多様な主体が連携・協働して進めている活動  等 【評価の構成項目】 ① 評価指標 定量評価に際して、目指す姿に近づくための取組・活動の結果を数値で表すこと、かつ経年で追うことが可能なものを「評価指標」として設定しました。 ② 定性評価視点 定性評価に際して、「さまざまな主体を巻き込んで打ち合わせを重ねた」等、目指す姿に近づくための取組・活動(結果)を進めるために行ったことや今後の課題となること(経過)等、数値で表せない質的な視点で確認するものを「定性評価視点」として設定しました。 【104ページ】 【評価の手順】 手順1:3つの推進の柱ごとに位置付けられた12の重点項目について、「評価指標」の経年変化や「定性評価視点」の取組状況を把握し、定量・定性評価を行います。 手順2:12の重点項目ごとに「目指す姿」にどれだけ近づいたかについて考察します。この際も、「結果」と「経過」、「できたこと・やったこと」と「課題」の視点を持って考察し、考察結果をもとに3つの推進の柱ごとの総合評価を行います。 【評価の視点】 評価では、下表のように、「結果」と「経過」の視点で取組状況の確認をしていきます。 第4期 評価指標の視点 結果(定量) 定義 ・目指す姿に近づくための、 ①対象者の生活の質の向上につながる取組や仕組みができたか ②課題解決に向けた取組はどの程度達成されたか 第4期 評価指標の視点 経過(定性)(結果以外のもの) 地域における取組 定義 ・「結果」のために、地域でどのような取組が行われたか ・住民・地域が主体的に取り組めたか ・関係機関・民間企業・市民活動団体等と公的機関、支援機関が協働して取り組めたか 支援機関(市・市社協・区・区社協・地域ケアプラザ)による支援・地域への関わり 定義 ・「結果」のために、支援機関の働きかけや取組(支援)はどうだったか ・市として計画に位置付けた支援策はどの程度行われたか (4) 評価と社会状況の変化や他の施策等との関係について 評価指標と定性評価視点の5年間の取組状況は、計画の取組の結果だけでなく、社会状況の変化や他の施策等の影響も考慮して総合的に評価していきます。