障害者支援センターについて
支援センターとは
「支援センター」は、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会障害者支援センターの略称です。
その前身は、財団法人横浜市在宅障害者援護協会(在援協、以下在援協)です。在援協は、重い障害のある人の家族によって、1973年(昭和48年)に設立されました。
当時、障害者の施策は障害別に組み立てられ、施策のはざまにいる人や、日中通うところもほとんどない人が多くいました。また、暮らしも家族が介助するか、施設に入所するかの二者択一という時代背景でした。このような中で設立された在援協は、以来、障害の種別や程度を超えて、障害のある人々が地域の中で活動したり暮らす拠点づくりを推進したり、その「支援者」としての役割を果たしてきました。
在援協は、設立当時、障害児の保育活動グループ(地域訓練会)の支援に力を注いでいましたが、その後は地域作業所、地域活動ホームといった日中活動の場を支援しながら、暮らしの場であるグループホームへとその支援の範囲を広げ、総合的に障害児者の地域生活を推進してきました。
そして、2004年(平成16年)4月1日、社会福祉法人横浜市社会福祉協議会との組織一体化を経て、横浜市社会福祉協議会障害者支援センターとして活動を開始しましたが、在援協の理念、支援、事業は「支援センター」が継承・発展させています。
理念と手法
在援協は、制度やサービスに障害者や家族の生活を合わせるのではなく、障害者や家族が自ら声をあげることを大切にしながら、市域で「ないもの」をともに創り、生活の質を高めるための活動をしてきました。
直接サービスをもたない在援協がそれらの支援を展開する際、その手法は自ずと施策、サービス、社会資源の「開発」「コーディネート」と孤立化しないための「組織化」に収れんされてきました。
そして、その実践は、障害者や家族は単なる福祉の対象者ではないとしてきた在援協の基本姿勢を「当事者性」「運動性」「開拓性」という理念として結実しました。
この手法は、在援協の仕事の基本であり、障害者の地域生活を実現するために欠かせないものです。
この理念と手法は、支援センターとなっても変わることなく展開しています。
仕事
支援センターの仕事の仕組み
支援センターの事務局は、区担当職員や市域全体の情報を一元的に把握するための事業担当職員がいます(ただし区担当職員と兼務)。さらに、障害者や家族、関係者をきめ細かく支援していくために地域コーディネーターも配置されています。
これら各職種が必要に応じて重層的に障害者、家族、団体にかかわっています。
また、より専門性を必要とする事項に関してはその都度専門家を開拓し、助言を受けるシステムを構築してきました。その際、必要な専門家につなぐノウハウも長い年月をかけて蓄積してきたのです。
これらは地域生活を支援する際、その即応性と専門性を確保するため必要不可欠な仕事の仕組みです。
支援センターの機能と仕事
障害者の地域生活を実現するために、支援センターはさまざまな機能と仕事を担っています。
(1)「調査・研究」
「調査・研究」事業は支援センターの仕事の要です。障害者と家族の声を施策化する際、障害者や家族、職員、学識経験者などで組織する調査・研究委員会を組織し、その具体化を図るための検討を行います。各事業の課題と展望を切り拓き、また障害者の自立生活支援、家族支援のあり方を探り、施策提起をします。
障害者と家族の声を真摯に受け止め、開発していくことが支援センターの重要な任務です。
(2)「相談・コーディネート」
支援センターの日々の仕事は「相談・コーディネート」業務につきるといっても過言ではありません。
例えば、地域作業所などの開設準備段階から日々の活動まで、その中で生ずるさまざまな運営上の課題や障害者への個別の援助のあり方など、障害者、家族、団体、関係者の意見や悩みに耳を傾け相談・助言を行います。また、課題解決に向けて、さまざまな制度を活用したコーディネートも欠かせません。
支援センターはこれまで同様、障害者とその家族の生活上の課題をひとつひとつ丁寧に取りあげ、「生活」と「ライフサイクル」の視点を基本としながら相談とコーディネートを行います。
幼児期からの育ち、学校、職場、家族、地域での暮らしのことなど、支援センターは障害者と家族に常に寄り添いながら支えています。
(3)「研修」・「啓発」
障害福祉の基礎的な知識、動向はもちろんですが、地域生活を営む上で生ずる具体的な課題に関し、その解決に向けた研修プログラムを組んでいます。
研修プログラムのポイントは
- 障害者と家族のエンパワメント
- それを支援する職員の態度とスキル
- 障害の科学的な理解と地域生活を推進するための情報
- 障害福祉の動向
などです。
また「啓発」は、横浜の地域活動や地域生活の紹介や各種制度の動向などを横浜の障害者や家族はもちろん、全国に向けてビデオや機関誌「お元気ですか」を通じて発信しています。
お元気ですか
「お元気ですか」のロゴマークは、1978年(昭和53年)12月創刊の機関誌のタイトル用に市内在住の水島友子さんに書いていただいたものです。水島さんは、重度障害があり足を使って書かれるのですが、この文字がその後の在援協のトレードマークとして使われるようになりました。
もともとは、在援協の発起人が地域で生活する障害者やその親の方たちを「お元気ですか」と訪ね歩いたことに由来しますが、どんな時も初心を忘れることがないようにとの願いが込められています。
在援協は、支援センターとして活動を開始しましたが、これからも初心を忘れることなく、この「お元気ですか」をロゴマークとして使用していきます。